DeNAに“山本祐大”という脅威「嫌がっている」 専門家が指摘する「鷹のアドバンテージ」

DeNA戦に出場したソフトバンク・山本祐大(右)【写真:栗木一考】
DeNA戦に出場したソフトバンク・山本祐大(右)【写真:栗木一考】

現役時代に4球団で捕手として活躍した野口寿浩氏が分析

 ソフトバンクは25日、敵地・横浜スタジアムで行われたDeNAとの「SMBC日本シリーズ2026」第2戦に4-3で競り勝ち、対戦成績を2勝0敗とした。現役時代に阪神、横浜(現DeNA)など4球団で通算21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「山本祐大(捕手)の存在がソフトバンクのアドバンテージ」と指摘する。

 複雑な思いが交錯した。今年5月12日にソフトバンクとDeNAとの間で成立したのが、尾形崇斗投手・井上朋也内野手と山本祐大捕手の2対1の交換トレード。その当事者3人が全員、スタメンに名を連ねていた。

「DeNA側の打者に、祐大のリードに狙いを外されて、嫌がっていた選手が多かった印象です。実際にいいリードをしていると思います」。野口氏はこう称賛する。

 たとえば、最後の場面。10回裏、1点を追うDeNAは相手の守護神・杉山一樹投手に対し2死一塁と食い下がり、一縷の望みをかけて代打で宮崎敏郎内野手を起用した。“読み”の深さにかけては球界屈指のベテランである。

 杉山は速球のコントロールが定まらず、カウントは3-1となる。簡単に四球を与えて、同点のランナーを得点圏の二塁へ進ませるわけにもいかない。運命の5球目、ソフトバンクのバッテリーは真ん中低めのフォークを選択し、宮崎のバットに空を切らせた。

 野口氏は「宮崎は10:0の割合でストレートを待ったはずです。カウント3-1からああいうリードはなかなかできません。杉山への信頼度を含めて、フォークを選択できるのは凄いと思いました。あれをやったから、宮崎はフルカウントからのラストボールに、どちらが来るかわからなくなってしまいました」と野口氏は感嘆する。こうなると宮崎が続く6球目に、真ん中高めの153キロのストレートに差し込まれて右飛に倒れ、DeNAが万事休したのも“必然”だった。

攻撃面での貢献も光る【写真:栗木一考】
攻撃面での貢献も光る【写真:栗木一考】

左手有鈎骨骨折→セ・パ交流戦で対戦しなかったことも有利に働いている?

 山本祐は今年5月までチームメートだったDeNAの各打者の強み、ウイークポイントなどを熟知している。一方で、「DeNAの野手は、祐大のリードをそういう目では見ていなかったと思います。それに、捕手のリードは投手によって変わります。言うまでもなく、持ち球も持ち味も違う(ソフトバンクのリバン・)モイネロ(投手)に対するリードと(DeNAの)東(克樹投手)に対するリードが、同じはずがないのです」と野口氏は指摘する。

 さらに、くしくも山本祐は6月のセ・パ交流戦で古巣のDeNAと対戦していない。対戦直前に左手有鈎骨の疲労骨折が判明し、戦線離脱していたからだ。「紅白戦などはあったかもしれませんが、DeNAの各打者が“ガチ”の勝負で祐大のリードと対戦するのは初めて。情報はスコアラーによるものしかなかったでしょう。ですから、この日本シリーズでは祐大の方にアドバンテージがあると思います」と野口氏は見ている。

 とりわけ、この日先発したモイネロは7回91球、5安打無失点の快投でDeNA打線を寄せ付けなかった。ストレートの球速が150キロを超えることは極めて少なかったが、カットボール、カーブ、チェンジアップなどを交えて幻惑した。

「おそらく、スピードは出ていなかったのではなく、出していなかったのだと思います」と野口氏。「打者側の潜在意識には、150キロ中盤から後半のストレートをバンバン投げていたモイネロのイメージが必ずあります。ですから、狙いを変化球に絞ることはなかなかできないと思います」と説明する。もちろん、山本祐のリードが一役買っていたことも間違いない。

 山本祐は打っても、2試合で7打数3安打(打率.429)3四死球の猛威を振るっている。第2戦では4回2死走者なしから、DeNA先発・尾形の153キロのストレートを左前に弾き返して出塁し、続く庄子雄大内野手の適時二塁打で一気にホームインした。

 第1戦では延長11回の打席で左手首付近に死球を受け、その裏の守備に就かず心配された山本祐だが、快調なプレーぶりは変わらない。第3戦以降も、大きな脅威として古巣DeNAの前に立ちふさがりそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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