DeNAシーズンVへ足りない物は? 専門家が掲げた“キーマン”…OBポツリ「評論家泣かせですよ」

DeNAナイン【写真:黒澤崇】
DeNAナイン【写真:黒澤崇】

ストロングフィニッシュが翌年につながらない「評論家泣かせのチーム」

 なぜ、この強さを長丁場のペナントレースで発揮できないのか。DeNAは日本シリーズでソフトバンクの前に0勝4敗で敗退したが、4試合中3試合が延長戦という激闘。CSは巨人とのファーストステージ、阪神とのファイナルステージを通じ、無傷の6連勝で突破した。一方、一昨年にシーズン3位からCS、日本シリーズを勝ち上がり“下剋上日本一”を達成したものの、1998年を最後に28年間、リーグ優勝からは12球団で最も長く遠ざかっている。

 DeNAの“秋の快進撃”は、レギュラーシーズン中の9月から始まっていた。月間勝率.652(15勝8敗)。7月から戦列に加わった新助っ人ヘラル・エンカーナシオン外野手が4番に定着し機能したこともあって、月間勝率.211(4勝15敗)の6月とはまさに別のチームのようだった。

「ここ数年はずっとそうです。こうして上り調子のままストロング・フィニッシュすれば、評論家は当然来季の順位予想で1位とか2位に挙げるわけですが、翌年のシーズン序盤は絶対そうなってこない。それでいて後半、帳尻を合わせるように状態を上げてくる。評論家泣かせですよ、このチームは」。こう苦笑するのは、現役時代に横浜(現DeNA)、阪神など4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏だ。

 昨季の9月も、今季を上回る月間勝率.722(16勝6敗1分)。最も弱かったのはやはり6月で、勝率.364(8勝14敗)だった。一昨年は6月に勝率.619(13勝8敗)の快進撃を見せたが、その反動なのか、翌7月に勝率.409(9勝13敗)と急落。得意の9月に勝率.550(11勝9敗1分)と巻き返すも、3位に終わった(CSを勝ち上がり日本一)。

 野口氏は「OBの1人としては歯がゆいです。特に野手はあれだけの顔ぶれがそろっているのですから、ペナントレースを制する力がないはずはない。いい野球ができるのに、長く続かない」と嘆く。

CS、日本Sで存在感を発揮した三森、成長期待の梶原、森

 長いシーズンを戦い抜くには、何が足りないのだろうか。野口氏はDeNA打線のメンバー構成に一因があると見ている。

「奇抜な作戦や細かい野球をやるわけではなく、強打者ぞろいで、ゴンゴンゴンと打ち勝てるかどうかに懸かっているチームです。硬軟取り混ぜた攻撃ができることが理想ですが、“硬”一辺倒になりがちで、主力どころが抑え込まれた時に、足でかき回したり、小技で点を取ったりする選手がいない。そういう選手を育てようとはしていますが、なかなか結果が出てこないのが実情です」

 そんな中で“クセ者”ぶりを発揮したのが、三森大貴内野手だった。阪神とのCSファイナルステージ第4戦に途中出場し、1点ビハインドの9回、2死二、三塁の崖っぷちで中前に殊勲の逆転打を放った。日本シリーズでは4試合中3試合にスタメン出場し、第1戦で2盗塁、第3戦で1盗塁を決め、相手バッテリーを混乱に陥れた。

 ただ、三森の今季レギュラーシーズンでのスタメン出場は31試合に過ぎず、日本シリーズでも、負傷で欠場したエンカーナシオンがいたら、これほど出番に恵まれていたかどうか微妙だ。どちらかというと、ここ一番の代走で存在感を発揮してきた選手である。

「三森もそうですが、日本シリーズ第1戦で突然5番に抜擢されたものの結果を出せなかった梶原昂希(外野手)、今季1軍ではほとんど出番がなく、2軍でも専ら外野手として起用された森敬斗(内野手)らは、足も使える選手です。その辺が1軍のレギュラーに定着できれば、チームも変わってくるとは思います」と野口氏は指摘する。

 今季もリーグ最多の557得点をマークした強力打線が魅力のDeNAだが、足攻、小技に長け、つなぎに徹することができる“脇役”の台頭こそ求められている。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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