DeNA京田陽太が「振り返ることもない」 日本S直前の“悪夢”…10年目で気づいた「一番大事なこと」、背中で示す覚悟

京田陽太はCS、日本Sに出場することなくプロ10年目を終えた【写真:井上学】京田陽太はCS、日本Sに出場することなくプロ10年目を終えた【写真:井上学】

6月には故障、8月には再調整で2軍落ち…移籍後最少51試合出場どまり

「今年、本当に振り返るようなこともないんですよね」

 節目のプロ10年目を終えたDeNAの京田陽太内野手が、力なく笑う。今季の出場は移籍後最少の51試合、通算でも中日時代の2022年(43試合)に次ぐ少なさで、クライマックス・シリーズ(CS)、日本シリーズの出場もなかった。

 代打や代走、遊撃スタメンとして開幕から出場を続けていたが、6月14日に左太腿の負傷で出場選手登録抹消。プロ入り以来、怪我で2軍落ちを経験するのは初めてのことだった。

 7月31日に復帰を果たすも打撃不振に苦しんだ。18打数1安打と結果を残すことができず、8月24日に再調整のため2軍落ち。1軍はAクラス入りを決め、短期決戦の中で経験豊富な32歳の力はきっと必要になると思われていた。

「何かあったときにすぐに(1軍に)行けるようにっていうのはいろいろな人に言われていたので『わかりました』と。自分でもそのつもりでいました」

「無理してやるのも格好いいというか、そういう美学もあると思います」

 10月には試合勘を維持するため宮崎県内で行われたフェニックス・リーグに参加し、声が掛かるときを待つことになった。しかし、そんな思いは暗転する。初戦でいきなり、ふくらはぎに違和感を覚えた。

「ちょっとおかしいなと思ったんですけど、まだ初日だったので治しながら試合をやってみようと。それで一度は治ったんですけどまた違和感が出てしまいました。そこで自分の中では踏ん切りがついたというか、チームに迷惑をかけるくらいならやらないほうがいいなと。無理してやるのも確かに格好いいというか、そういう美学もあると思います。でもポジションがポジションですし、ショートは一つのミスで流れも変わる。中途半端にやって足を引っ張るくらいなら、しっかり治して来年に備えようと思いました」

 葛藤と戦い、出した結論だった。日本シリーズの40人枠からも外れ、横須賀市内の2軍施設に戻って地道にやれることをやる。そんな日々を過ごすことしかできなかった。

 過去9年間、大きな怪我なくプロの世界で戦ってきたことに「すごいっすよね」と胸を張る。一方で32歳となり、怪我が相次いだことに「今まで通りやって、自分で動きながら勝手に治っていたことろがなかなか抜けない、治らない。徐々にきているなっていうのは感じます」と“現実”を受け止めている。

怪我にも苦しめられたシーズンだった【写真:加治屋友輝】怪我にも苦しめられたシーズンだった【写真:加治屋友輝】

テレビで見た日本Sで痛感「練習の姿勢や取り組みを変えていかないと」

 怪我をしてしまっては、まず野球ができない。それが「振り返るようなこともない」という言葉の思いだ。

「初めての怪我だったので……。怪我をしたら何もないってこういうことなんだなって。まずグラウンドに立たないと、打った打たないとかそういう結果にも伴わない。だから怪我をしないことがどれだけ大事か、それを改めて感じるシーズンになりました」

 最後はチームの力になれなかった。それでもテレビで目に焼き付けた日本シリーズで感じたことは、来季以降の糧になる。

「(ソフトバンクから)何年も勝ち続けているチームの野球というものを感じました。1個のアウトとか1個のミスとか、ああいう舞台では許されない。となると、練習の姿勢や取り組みを変えていかないと勝ち上がっていかれないのかなと思いました」

 熱く言葉を吐き出したあと、すぐに「すみません、試合にも出ていない、テレビの前で見ていたやつが何やら言っちゃって」と苦笑いしたところに人柄がにじむ。若手の良きお手本でもある32歳は、まだまだ背中で示していく。

「今年1年間を今後に繋げるためにも、来年は怪我をしないこと。やはりそこが一番大事だと、10年目にして初めて気付きました。それがないと成績も始まらないので」

 痛感したプロ野球選手として必要なこと――。まずは戦いの場に立ち続ける。

(町田利衣 / Rie Machida)

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