DeNA4連敗終戦…パとセで広がる格差 「その一因」DH制導入は“解消”に繋がるのか、専門家分析

防御率上位5人の今季最高球速で比較すると、パが5キロ以上速い
今年の日本シリーズは、セ・リーグのCSを勝ち上がったDeNAがソフトバンクと4試合中3試合が延長戦という激闘を繰り広げたものの、結局1勝もできず0勝4敗で敗退した。最近10年の日本シリーズで、セ・リーグの球団が日本一になったのは3度だけ。0勝4敗でスイープされたケースが今季を含めて3度もある。そんなセ・リーグにいよいよ来季からDH(指名打者)制が導入される。パ・リーグとの“格差”を解消するきっかけになるのだろうか。
「今年の日本シリーズにも表れていた通り、全体的に見ても、特に投手陣のレベルはパ・リーグの方がセよりかなり上。息をつく所のないDH制で鍛えられてきたことが、その一因だと思います。DH制導入がセの投手の成長につながる可能性はあると思いますが、一朝一夕にはいかず、全体的なレベルアップには時間がかかるでしょう」
こう予測するのは、現役時代にヤクルト、日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)の4球団で計21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏だ。
DH制は、リーグによる投手のタイプの違いも生み出しているようだ。全体的にパ・リーグの投手の方が球速が速いイメージがある。
両リーグの今季防御率上位5人の今季最高球速で比較してみると、パ・リーグは最優秀防御率のタイトルを獲得した西武・平良海馬投手の160キロを筆頭に、2位の同・隅田知一郎投手が154キロ、3位の日本ハム・北山亘基投手が155キロ、4位のソフトバンク・大津亮介投手が152キロ、5位のオリックスのアンダーソン・エスピノーザ投手が157キロで、5人の平均値は155.6キロだった。
セ・リーグは阪神・村上頌樹投手が150キロ、同・高橋遥人投手が151キロ、巨人・井上温人投手が153キロ、ヤクルト・山野太一投手が151キロ、中日・柳裕也投手が146キロで、平均値は150.2キロ。パ・リーグとは5キロ以上差があった。

最速161キロの守護神が「いとも簡単そうに打ち返された」
野口氏は「セ球団は来年1年間をかけて、どんな投手がDH制の下で成功するのかを検証するでしょうが、今後はドラフトでも、“エンジン”が大きくて馬力があり、球速の速い投手をより多く獲ることになる気がします。変化球でかわすのには限界がありますから」と分析する。
日本シリーズでセ・パ格差の象徴の1つとなったのは、今季途中からDeNAの守護神の座に就き、最速161キロの剛速球と落差のあるカットボールで62試合30ホールド17セーブ、防御率1.59と活躍したショーン・レイノルズ投手が、ソフトバンクに通用しなかったことだ。
第2戦では1点リードの9回に登板し、山川穂高内野手に外角のカットボールを横浜スタジアムの左翼席場外まで飛ばされ、痛恨の同点ソロを被弾。第3戦でも1点リードの9回、2死二塁の場面で牧原大成内野手に、内角低めいっぱいの156キロのストレートを右前へ弾き返され、またもや同点に追いつかれた。野口氏も「ホークスの打者はいとも簡単そうに打ち返していましたね」と驚嘆するしかなかった。これもDH制が生み出した差と言えようか。
一方、野口氏はセ・リーグでDH制導入初年度の来季、最も恩恵を受けそうな球団を現時点で「DeNAではないか」と予想する。
DeNAは今季、筒香嘉智内野手、宮崎敏郎内野手、佐野恵太外野手の3人うち1人をスタメンから外すケースが多く、ベテランの負担を軽減しながら起用していた。「来季は3人のうち1人をDHで起用すれば、3人がスタメンに並ぶ試合が増え、ただでさえ強力な打線がさらに破壊力を増すのではないか。DHのローテーションに、(ヘラル・)エンカーナシオン(外野手)を加えてもいい」と語る。
DH制が球界全体のレベルを押し上げ、スリリングで面白い展開を増やしてくれるのなら大歓迎だ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)