坂倉FA行使→広島が抱えるジレンマ 流出なら消える日本人唯一…残留しても厳しい現実

坂倉の74打点はチーム最多、2位とは32点差…15本塁打も日本人1位
広島は5日、坂倉将吾捕手が国内フリーエージェント(FA)権を行使したと発表した。前日には森下暢仁投手も権利行使を表明し、投打の主力に移籍の可能性が生じた。なかでも坂倉の去就は、捕手陣にとどまらない問題だ。日本人でチーム唯一の2桁本塁打を放ち、打点も最多だった打者が抜ければ、リーグ最少得点に沈んだ打線は「底上げ」と「穴埋め」を同時に強いられることになる。
坂倉は今季140試合で打率.251、15本塁打、74打点を記録した。日本人選手の本塁打で次に多いのは菊池涼介内野手の7本で、坂倉の半分にも届かない。打点は2位のエレフリス・モンテロ内野手(42打点)に大差をつけて1位。打点数は打順や走者を置いた場面の多さにも左右されるとはいえ、打線におけるポイントゲッターとしての存在感は圧倒的だった。
その坂倉を擁していても、広島は431得点でリーグ最少だった。チーム打率.223、出塁率.288も最下位で、走者をためる段階から改善が必要な状況にある。坂倉自身は62四球を選び、出塁率.335を記録。走者をかえすだけでなく、自ら塁に出て後続につなぐ役割も担っていた。
登録は捕手だが、今季の守備出場は捕手で20試合に対し、一塁で83試合、三塁で66試合(途中出場を含む)だった。複数のポジションを担いながら打線に入り続けており、「次の捕手を誰にするか」だけでは整理できない。内野の配置も含めて打線を組み直し、坂倉に代わって継続的に得点に貢献できる打者を確保する必要がある。
若手では、佐々木泰内野手が121試合で打率.254、6本塁打、26打点と台頭の兆しを見せた。一方、平川蓮外野手は29試合で打率.186、1本塁打と、まだ1軍での実績は限られる。坂倉の移籍によって出場機会が広がる選手も出てくるが、それを直ちに戦力の上積みとは見込めない。若手の成長に期待しつつ、既存選手の復調や外部補強も含め、得点源を増やすことが求められる。
FA権の行使は移籍決定ではなく、坂倉が残留する可能性もある。ただ、引き留めに成功しても、リーグ最少だった得点力の課題は残る。残留なら坂倉とともに中軸を担う打者が必要で、流出すれば、そこに主軸の後任確保も加わる。広島にとっては戦力の維持だけでは足りない今オフ。坂倉の去就は、打線再建の難しさを大きく左右する。
(Full-Count編集部)