滝澤夏央は「いいお手本」 西武・山村崇嘉を駆り立てる後輩の台頭…コーチが語る飛躍のカギ

秋季キャンプで泥まみれになる西武・山村崇嘉【写真:湯浅大】秋季キャンプで泥まみれになる西武・山村崇嘉【写真:湯浅大】

秋のテーマは「全部の成長です」

 高校球児のようにがむしゃらにボールに飛びつく。西武の山村崇嘉内野手は、宮崎・南郷秋季キャンプで連日、守備練習に多くの時間を割いている。今季は開幕1軍に入りながらも、2軍との往復を繰り返した。巻き返しの2027年へ静かに己を鍛えている。

 第2クールの5日、山村は黒田哲史内野守備・走塁コーチ、2軍の大引啓次内野守備・走塁コーチとともにサブグラウンドにいた。三塁に入り、黒田コーチのノックをひたすら受ける。イージーゴロや逆シングル、三遊間の際どい打球を追いかけた。

 ユニホームは高校球児のように泥だらけ。飛びついてキャッチしても黒田コーチからは「そんな当たりは飛びつくほどじゃないだろ」と厳しい声もかけられていた。

「体を強くして、こういうしんどい練習でも気持ちを切らせることなくやることですね。全部の成長です」。南郷中央公園の長い階段を上りながら、自分に言い聞かせるように、この秋のテーマを語った。

 東海大相模高から2020年ドラフト3位で入団。大型内野手として期待され、長打力を武器に昨季はキャリアハイの71試合に出場した。今季も開幕1軍を勝ち取ったが、春先に打率.189と苦しみ、4月5日に2軍再調整となるなど4度の降格を味わい、1軍出場は29試合で打率.200(80打数16安打)、1本塁打にとどまった。

 ファームでは61試合に出場し打率.341(217打数74安打)、3本塁打、31打点。出塁率.394、得点圏打率.446と勝負強さも発揮したが、チームが優勝を争った終盤も2軍で過ごした。「帯同するだけじゃなくて、試合にずっと出続けられるような選手になりたいですね」。

後輩たちに闘争心をのぞかせる【写真:加治屋友輝】後輩たちに闘争心をのぞかせる【写真:加治屋友輝】

名手・滝澤、ファーム首位打者の横田ら…後輩に闘争心

 チームはシーズン終盤、ソフトバンクと優勝争いを演じた。最終的に2位で終わったが、クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージでは日本ハムと熱戦を展開した。山村はどのように感じ、過ごしていたのだろうか。

「見ていないですね、試合を。自分が出るって気持ちは変わらないので、別に試合をそもそも見ていないです」。試合は「見る」ものではなく「出る」ものである。矜持を示した上で「悔しさもありますね。見たくないというのもありました」と偽りのない心境も明かした。

 来季で入団7年目を迎える。24歳とまだ若いが、後輩の成長が闘争心を駆り立てる。4日の特守では滝澤夏央内野手と三遊間を組んだ。1学年下に当たるが、今やリーグを代表する“名手”になった23歳に一目置いている。

「夏央は本当にトップレベルでうまいと思うので、そこは後輩ですけど、いいお手本として一緒に練習させてもらっています」

 また、山村同様に内野のユーティリティタイプの横田蒼和内野手は、高卒1年目でファームの首位打者(.310)になった。「まあ横田も同じポジションにいるような感じなので、可愛い後輩ですけど、まだまだ負けないぞっていう気持ちはあります」と迷いはない。

黒田哲史コーチ(右)から指導を受けている【写真:湯浅大】黒田哲史コーチ(右)から指導を受けている【写真:湯浅大】

「もう少し安定感ある守備をしてくれれば」

 山村を鍛え上げている黒田コーチは課題について「体全体がちょっと重くなって、キレがなくなったっていうところと、技術的なところで言うと三遊間のところに不安を抱えていた。そこはシーズン中から話はしていたので、本人もこっち(守備)を重点的にやりたいと。今(の課題)はそこだけですね」と説明した。

 1軍に定着するために必要なことは「もう全てですよね。気持ちの方も強く持たなきゃいけないですし。そもそも、スローイングはいいので、もう少し安定感ある守備をしてくれれば。そこだけだと思うんですよ」。ポテンシャルの高さを認めているからこそ、“弱点”を補うことさえできれば状況は変えられるという。

 山村にとっては2027年は勝負といってもいいシーズンになる。「打撃でしっかり結果を残して、試合に出るっていうのはずっと言っているんで。そこでしっかりチャンスに強くじゃないですけど、いいきっかけになればいいなと思います」。

 守備力が向上すれば、持ち前の打力も相まって出場機会は増えていくだろう。この秋から一日たりとも無駄にしない。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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