松井監督も唸る「いい体」 1年で体重11kg増も「少食なんです」…“浦学のジャッジ”の素顔

巨人・藤井健翔【写真:井上学】
巨人・藤井健翔【写真:井上学】

高卒1年目の藤井は体重96キロ→107キロ「元々飛ばす力はありましたけど」

 澄み渡る秋空を切り裂き、白球がバックスクリーンへと吸い込まれていく。7日、川崎市のジャイアンツ球場で行われている巨人の秋季キャンプ。藤井健翔内野手は1人きりでケージに入り、約1時間にわたって特打に没頭。特大アーチを描くと、詰めかけたファンから拍手が湧き起こった。

 ネット裏で腕を組み、そのスイングをじっと見つめていたのは松井秀喜監督だ。低めの球を捉えてグングンと伸びる弾道に、指揮官の口元から「いいね」と言葉がこぼれる。埼玉・浦和学院高時代に規格外のパワーで「浦学のジャッジ」の異名をとる高校通算35本塁打のスラッガーが、巨人のユニホームを着て迎えたプロ1年目の秋。その存在感は、グラウンドの中でも一際、異彩を放っている。

 入団時のサイズは身長181センチ、体重96キロ。それだけでも十分にプロ仕様の巨躯だったが、この1年で体重はさらに10キロ増え、今や107キロに達した。「元々飛ばす力はありましたけど、体をしっかり使った時に大きい打球を打てる」と手応えを口にする。

 だが、この急激な増量の裏話を聞くと、本人は少し照れくさそうに笑った。

「寮は全部美味しいんですけど。自分、ご飯をあんまり食べない人なんです。白米も食べないんですよ。少食なんです」

 プロ野球の巨漢スラッガーといえば、どんぶり飯を何杯も平らげるような豪快な食欲を思い浮かべがちだが、藤井は真逆だ。米を食べずとも大きくなる体に、「食べなくても大きくなったんで、両親に感謝ですね。完全に遺伝です」と茶目っ気たっぷりに明かす。入団後にトレーナーのもとで本格的に始めた筋力トレーニングの成果と、天性の骨格が重なり合い、除脂肪体重と筋肉量が自然と跳ね上がったのだという。

 松井監督からも「いい体があるんだから、それをしっかり生かしていこう」と声をかけられた。打撃練習の最後には「ホームランを打ったら終わります」と自らにノルマを課し、見事に柵越えで締めくくってみせた。松井監督はこの日のトークショーでポテンシャルは「無限大」と語ったように、将来のクリーンアップを張れる逸材だ。

 それでも、19歳の胸のうちは冷静だ。体重が増えた恩恵を感じる一方で、「もう少しキレが欲しい」という課題も実感している。この冬はあえて5キロほど減量し、代謝を上げて「最も動けて、最も飛ばせる」理想の肉体バランスを探るつもりだという。目指す場所は明確だ。

「岡本(和真)さんのように、『この人が打ってくれれば勝てる』と思われるビッグな選手になりたい。最終的には東京ドームの1軍の舞台でホームランを打ちたいです」

 今季のチーム103本塁打はリーグ4位。岡本和真内野手がブルージェイズへ移籍したチームは、長距離砲不足に泣いた。大きな背中に漂い始めた主砲の風格が、巨人の明るい未来を予感させている。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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