エンゼルスが“狂気のドラフト” 課題克服へ20人全て投手、大学生19人の即戦力指名

投手陣が課題のエンゼルス、ドラフトでは20人全て投手を獲得した【写真:Getty Images】
投手陣が課題のエンゼルス、ドラフトでは20人全て投手を獲得した【写真:Getty Images】

ドラ1バックマンは最速164キロの剛腕、早ければ今季デビューも

 投手陣の整備が喫緊の課題になっているエンゼルスが、11日(日本時間12日)から始まったMLBドラフトで大胆な指名を敢行した。1巡目から20巡目まで全て投手を選択。思い切った決断に、地元紙「オレンジカウンティ・レジスター」でも、思い切った決断に「ちょっと驚きかもしれない」と伝えている。

 全体9位の1巡目で指名したのは、オハイオ州マイアミ大の右腕サム・バックマン。同紙によると、今回のドラフト対象選手の中でもトップクラスだと言われる最速102マイル(約164キロ)の速球が武器で、スライダーやチェンジアップを操る。先発としての起用を考えているが、早ければ今季からメジャーのリリーバーとして投げる可能性もあると見るスカウトもいる。

 全体45位で2巡指名したセントメアリー大のカイ・ブッシュは、身長約198センチ、体重109キロの大型左腕。こちらは長期的な育成も見据えての獲得だという。さらに全体80位の3巡目で指名したルイジアナ州立大の右腕ランドン・マルソー以下、最後の20巡目まで全て投手。うち大学生が大半の19人で、高校生は1人だった。

 球団としては、各指名の際にベストな選択をした結果、投手ばかりになったとか。アマチュアスカウトディレクターを務めるマット・スワンソン氏は「おもしろいのは、7巡目か8巡目まで全員投手を取っていることに気付いてなかったんだ」と振り返った。

“投手偏重”になった背景には、ここ数年のチーム状況が大きく滲む。先発、リリーフともに苦しい状況が続き、今季も大谷翔平投手が本塁打を放ちながら敗れた試合は1度や2度じゃない。チーム防御率4.86はリーグ12位に低迷。打っても勝てないエンゼルスからの決別が求められている。

 さらに同紙は、主力野手の契約事情にも言及。2030年まで契約を結んでいる主砲のマイク・トラウトをはじめ、アンソニー・レンドンも2026年まで、デビッド・フレッチャーも2025年までの契約が残っている。トレードがなければ、4年以上球団にいることが見込まれる野手が7人もいる動かし難い状況で、投手強化に舵を切った。

 海を渡った日本でも、大谷がアーチを放ちながら「なお、エンゼルスは敗れた」ということを知らせるネットミーム「なおエ」が話題になるほど、やり玉に挙がってきた投手陣。即戦力候補の大量獲得で風向きは変わるのか――。“狂気のドラフト”の成果が試される。

【動画】エンゼルスの救世主に?ドラ1指名したバックマンの160キロ超剛速球

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