7年間でリーグ優勝3回&日本一5回 鷹・工藤監督の思考を変えた転機とは?

退任会見に臨んだソフトバンク・工藤公康監督(右)と王貞治会長【写真:球団提供】
退任会見に臨んだソフトバンク・工藤公康監督(右)と王貞治会長【写真:球団提供】

2位に終わった2016年は「選手に求めるのは間違っている、と思えた年」

 今季で退任するソフトバンクの工藤公康監督が27日、本拠地PayPayドームで退任会見を行った。在任7年間で3度のリーグ優勝、5度の日本一に輝いた名将は自身の転機として「あの1年が印象に残っています」と、2位に終わった2016年シーズンを挙げた。

 今季は就任7年目で初めてBクラスの4位に沈んだ。球団からは続投要請を受けていたものの、低迷の責任を取り、10月初めに今季限りでの辞任を決断。「やはり敗戦の責は将が負うもの。もっともっとやれること、行動すべきことがあった。それをやりきれなかった思いが日に日に増してきたのは事実。選手たちに万全の状態でシーズンを迎えさせてあげることができなかったのもあるし、怪我人が多かったのもある。それでも、やりくりするのが監督。バックアップする選手を作れなかったところの責任が大きい」と胸の内を明かした。

 5度の日本一に輝いた7年間を回顧した工藤監督は「投手出身なんで、投手って打たれたことは覚えているけど、抑えたことは覚えていないんですよ」と語ると、日本ハムに覇権を奪われた2016年のシーズンを転機に挙げた。「勝てなかった悔しさから何が足りないかを考えてオフを過ごした。自分の中で反省と信念を持ってやらないと挽回できないだろう、という思いでいた。キャンプ、オープン戦も自分が何かをしないと、変わっていかない限りは選手に求めるのは間違っている、と思えた年だった」と、自身の考え方を変化させるために大きな年だったという。

 翌2017年には2年ぶりのリーグ優勝を果たすと、2018年、2019年はリーグ2位からクライマックスシリーズを勝ち上がって日本一に。2020年には3度目のリーグ優勝を成し遂げ、4年連続の日本一にも輝いた。今季は4位に終わったものの、この7年を「幸せな7年間を過ごすことができて、野球人としてたくさんの人に支えてくれたことを感謝申し上げたい。今年こういう結果になったのは私自身の力が足りないことが原因。来年以降強いホークスを作ってくれると思います。7年、少しでも思いを叶えられたのであれば、幸せだったと思います」と語った。

 監督としての喜びだったのは、日々、奮闘する選手たちの姿を見ることだったという。「勝っていく姿、打っている姿、喜んでいる姿、優勝するというのはそういうのが多いということなので、そういうのを見るのが好きでしたね。『勝たないといけない』というのは自分の中にしまって、采配はしないといけないですけど、そういう姿を見るのが好きでしたね」と語り、思いを馳せていた。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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