鷹一筋15年、高谷裕亮「時が来たのかな」笑顔の引退会見 和田と最後のバッテリー
来季は2軍バッテリーコーチ就任予定
ソフトバンクの高谷裕亮捕手が1日、PayPayドーム内で引退会見を行った。ホークス一筋15年の高谷は来季の構想から外れ、10月26日に球団から選手契約を締結しないと通告されていた。会見には長年ともにプレーした和田毅投手が登場、グラウンドで“最後のバッテリー”を組むサプライズ演出で送り出した。来季は2軍バッテリーコーチに就任の予定だ。
高谷は2006年の大学・社会人ドラフトで3位指名を受けて入団。高校から社会人野球に進み、その後浪人生活を経て白鴎大学に入学した異色の経歴を持つ。相次ぐ故障と戦いながら現役15年で643試合に出場。“抑え捕手”を任されるほどの堅実なリードは投手陣からの信頼も厚く、明るい人柄でチームメートやファンからも愛され続けた。
戦力外通告を受けた26日には「頭の整理ができていない」としていたが、ユニフォーム姿で会見に臨んだ高谷は「考える時間をいただいたこともあって意外とすっきりしている」と笑顔を見せた。「何よりも感謝している」という家族には「僕と同様、戸惑いもあって『正直言うとユニフォームを着ている姿を見たい』と言われたが、ゆっくりと話ができた」とし、「できたとしても長くはないというのは自分の中であった。チームに気を遣ってもらってやっとこの状態。『時が来たのかな』と思った」と引退を決断した。
高谷は現役生活を「ひと言でいうとケガで始まってケガで終わった。1年目のファームでケガをして最後は脳振とうもあった。その中でも腐らず、しっかり準備をすることを忘れずにやってこられたかなと思う」と振り返った。思い出のシーンを問われると、3年目の2009年の開幕戦、和田と組んでの完封を挙げ「ふわふわした気持ちで気が付くと途中までいっていた」。さらに会見の最後には、その相棒が花束を持って登場した上、グラウンドで高谷との“最後のバッテリー”まで実現させた。
社会人、大学、プロを通して「人との出会いに恵まれた」とすべての人に感謝を示した高谷は2軍バッテリーコーチに就任予定で、近々正式に発表される。
「(甲斐)拓也の下が育っていないのもあるが、それは僕がいたことが弊害になっていたのもゼロではない。やはり『時が来たのかな』と思う」
得意のモノマネ(形態模写)を磨いてきた捕手ならではの観察眼と高い経験値を武器に、甲斐拓也に続く若手捕手の育成に力を注いでいく。