日ハム宮西が挑む4センチの変化 10年連続50登板の鉄腕がフル回転宣言

日本ハム・宮西尚生【写真:石川加奈子】
日本ハム・宮西尚生【写真:石川加奈子】

10年連続50試合登板の鉄腕は「どこでもフォローに入る」とフル回転宣言

 日本ハムの宮西尚生投手が万全の状態でプロ11年目を迎えた。今季初登板した1日の西武戦(札幌ドーム)では7回に登板して1イニングを無安打無失点、12球で片付けた。実績あるリリーフは宮西1人というチーム事情の中、「6回から9回までどこでもフォローに入るつもり」とフル回転する覚悟だ。

 15年オフに手術をしてから昨季までは常に不安を抱えてマウンドに上がっていた。「肘の不安があって、投げて、打たれて。申し訳ないという気持ちだったし、ストレスが溜まった。今年は違う。ここ3年間では間違いなくベストの状態。打たれることがあるかもしれないけれど、打たれた時も納得できる失点になる」。そう言い切る左腕の表情には、自信があふれていた。

 腕の角度を4センチ上げて、手術前のフォームに戻すことに成功した。「去年までは肘の力が抜けたり、力が入らなかったり、ボールに力が伝わらず、かわしながら、即席フォームでやってきた」と明かす。昨季5位に低迷してできた長いオフを利用して、徹底した肘周りの強化と体作りを行い、肘の不安を払拭。同時にフォーム改造に着手した。

 3年間染み付いたフォームを変えるのは簡単ではなかった。わずか4センチとはいっても「僕の感覚では上から投げる感じだった」と言う。年明けからブルペン入りし、例年以上に投げ込み。開幕前には「フォームを自分のものにできた。ボールの強さ、打者に対しての球速感、スライダーのキレも戻った」と完ぺきな手応えを得た。

 ここまで仕上げる過程で忘れてはいけないのが、ソフトバンクからFA移籍してきた鶴岡慎也捕手の存在だ。5年前まで受けてもらっていた女房役にスライダーの軌道を尋ねると、意外な答えが返ってきたという。「昔はもっと小さく曲がっていたと。カット気味で三振を取っていたと言われた。自分としてはもっと大きく曲がっていると思っていたので、自分のイメージの感覚を修正できたのは大きかった」と鶴岡に感謝する。

実績あるリリーフ陣がチームを去り、計算できるのは宮西だけ

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