「最後の松坂世代」和田毅が生き残れる理由…村上宗隆を圧倒した“極端な”攻め
飯田哲也氏もうなった…ヤクルト4番村上を封じ込んだ内角攻め
最後の“現役松坂世代”となったソフトバンク・和田毅投手は今季も7試合1勝1敗、防御率1.51の好成績をマークしている。41歳のベテラン左腕は今月12日、本拠地PayPayドームで行われたヤクルト戦に先発し、6回無失点に抑えるも打線の援護がなく、日米通算150勝目はお預け。9日にヤクルト・石川雅規投手が更新したばかりの、交流戦歴代最多27勝に並べるチャンスも逃したが、本拠地のファンを魅了するには十分な内容だった。ヤクルト、楽天で走攻守三拍子揃った名外野手として活躍し、現役引退後にはソフトバンクのコーチも務めた野球評論家・飯田哲也氏が投球を分析した。
12日のヤクルト戦で最大のポイントは、4番・村上宗隆内野手との勝負だった。村上はソフトバンクとの3連戦初戦に決勝本塁打。2戦目も反撃ののろしを上げる2ランと逆転のグランドスラムを放ち、ヤクルトを交流戦優勝決定に導いていた。飯田氏は「和田は山田(哲人内野手)と村上を意識し過ぎるぐらい、意識していました」と指摘する。
初回2死から山田に対し、コースぎりぎりを狙って四球で歩かせ、村上の第1打席を迎えた。和田は初球から全7球、内角へストレートを投じ空振り三振に仕留める。3球目には高めのボール球で村上を大きくのけぞらせ、捕手の甲斐拓也とサイン交換の呼吸が合わない場面が2度あったが、己の意志を貫いた。最後の7球目は、22歳の村上が19歳も年上の和田の気迫に圧倒されたかのように、143キロに振り遅れた。
ストレートの球速は140キロ台前半。球威では抑え込めない。飯田氏は「インコースはコントロールが甘いと長打を浴びる危険なボールです」と配球に驚いた。ましてや相手は村上だ。「正確なコントロールがあるからこそ投げ切れる」と絶賛した。和田は次の打席に向けても、内角への意識を植え付けることに成功した。