甲子園中止、コロナ辞退、監督交代… 東海大相模の3年生が流した涙の重み

神奈川大会決勝で敗れ、涙を流す東海大相模ナイン【写真:大利実】
神奈川大会決勝で敗れ、涙を流す東海大相模ナイン【写真:大利実】

第104回全国高校野球選手権神奈川大会決勝は横綱対決に

 神奈川大会決勝。サヨナラ勝ちの歓喜に沸く横浜とは対照的に、東海大相模の選手はその場から動くことができなかった。この一戦にかける想いが強かったからこそ、敗戦を受け入れるまでに時間を要した。

 0-1。1点が明暗を分けた。

 三塁側応援席への挨拶を終えた直後、エース格として投手陣を引っ張ってきた庄司裕太と、6番・サードで勝負強いバッティングを見せてきた笹田海風は、膝から崩れ落ち、頭をグラウンドにこすりつけた。

 泣き続ける選手のもとへ、すぐに寄っていったのが、今春まで部長としてベンチに入っていた長谷川将也先生(現・副部長)だった。東海大相模のOBであり、高校時代はセンバツのマウンドを経験している。

 今夏は神奈川高野連の理事を務める関係もあり、相模原球場の球場主任を担い、戦いの舞台が横浜スタジアムに移ってからも、理事として忙しく動き回っていた。

 本来であれば、理事として閉会式の準備を進めるべき立場でもあるが、それよりも先に、選手の頑張りを称えた。

「よく頑張った。胸を張って、閉会式までやろう」

 長谷川先生の温かい声が聞こえてきた。

 激動の1年だった――。

 昨夏は新型コロナウイルスが野球部内に広まり、準々決勝を前に出場を辞退。新チームからは、門馬敬治監督が退任し、原俊介監督が就任。選手の多くは、門馬監督から誘いを受けて、ともに日本一を目指すために、東海大相模の門を叩いた。監督が代わることなど、微塵も思っていなかったことだ。

 秋は圧倒的な攻撃力で県大会を制するも、関東大会では準々決勝で木更津総合に敗戦。連覇がかかったセンバツ出場を逃した。

 さらに春は県大会の準々決勝で、桐蔭学園に5-9の逆転負け。2019年春から続いていた県内の公式戦連勝記録が59で止まった(コロナによる出場辞退は除く)。

「このままでは夏も勝てない……」

 危機感を覚えたキャプテンの松山拓馬と、副キャプテンの笹田が、寮にある監督室を訪ねた。

心を決めて訪れた監督室、原監督の答えは

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