川崎宗則が米球界で得たもう1つの価値観 監督から「休め!」、産休取得の裏側

米球界で約5年を過ごした川崎宗則【写真:荒川祐史】
米球界で約5年を過ごした川崎宗則【写真:荒川祐史】

米球界で約5年を過ごした川崎が教えるメジャーとマイナー

 プレーオフ進出争いやタイトル争いが佳境を迎えているメジャーリーグ(MLBはABEMAで毎日生中継)。ナ・リーグのワイルドカード枠を巡っては、ダルビッシュ有投手が所属するパドレスが2年ぶりのプレーオフを目指して奮闘。ア・リーグMVPを巡っては、二刀流で12勝&34本塁打を誇るエンゼルスの大谷翔平投手と、57本塁打で他を突き放すヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手が手に汗握る一騎打ちを展開している。

 また、9月にはメジャーのロースター枠が26人から28人に拡大。プレーオフ進出の望みが断たれたチームでは、拡大枠を利用しながら来季に向けて戦力の見極めを実施。メジャー昇格を狙うマイナー選手や、今オフにFAとなるベテラン・中堅選手たちが猛アピール中だ。

 メジャーリーグを観戦していると、必ず耳にする「メジャー選手」と「マイナー選手」という言葉。なんとなく知っていても、詳しく「違い」を理解している人は少ないかもしれない。

 一般にメジャー選手と呼ばれるのは、メジャー公式戦に出場できる26人の登録枠に入っている選手のこと。26人枠以外の選手は、3A以下のマイナー球団でプレーするためマイナー選手と呼ばれる。ただし、メジャー球団が直接支配下に置き、メジャー契約を結ぶ選手の枠は40人。このうち出場登録枠を外れた14人は、メジャー契約ではあるがマイナー球団でプレーしながらメジャー昇格の機会を探るため、マイナー選手と呼ばれている。

 2012年にマリナーズとマイナー契約を結び、米球界へ移った川崎宗則内野手(現・BC栃木ゴールデンブレーブス)はメジャーとマイナーの関係性について「日本プロ野球の1軍・2軍とは意味合いが全然違いますよね」と話す。

「日本は1軍と2軍を合わせて支配下登録が70人。契約上はみんなが同じように1軍と2軍を行き来できる。2軍からスタートしても、同じ契約のまま1軍に上がるチャンスがあるわけです。実は、僕も最初はその感覚で渡米したんですけど、とんでもない! 日本で言う2軍からのスタートじゃなかった。全く違った。マイナー契約であれば、ずっとマイナーなんですよ」

 もちろん、マイナー契約の途中でメジャー契約に切り替わることもある。ただし、それは40人枠にいる選手が事実上の戦力外となったり、60日間の負傷者リスト入りをしたり、欠員が生まれた時のみ。そして晴れてメジャー契約を勝ち取っても、26人枠に入らなければメジャーの試合には出られない。マイナー契約から26人枠入りを勝ち取るのは、想像以上に大変なことでもある。

 2017年に日本球界に復帰するまで、マリナーズ、ブルージェイズ、カブスの3球団でおよそ5年にわたりプレーした川崎は、この間にたびたびメジャーとマイナーを行き来した。だが、この状況にストレスを感じることはなかったという。

「シンプルに契約で割り切られているので、メジャーはメジャーで嬉しいし、マイナーはマイナーで胸を張って楽しくプレーさせてもらいました。僕の場合、2つのチームに所属しながら、その時に呼ばれた方でプレーするという意味合いで捉えていました。自分の人生を同時に2チームで謳歌できるなんて、なんてラッキーなんだって」

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