39歳で樹立した日本記録は「仰木さんのおかげ」 オリV戦士が述懐する“選手起用の妙”

逆転満塁弾を放った藤井康雄氏を迎えるオリックス・仰木彬監督【写真:共同通信社】
逆転満塁弾を放った藤井康雄氏を迎えるオリックス・仰木彬監督【写真:共同通信社】

藤井康雄氏は39歳シーズンに年間3本の代打満塁本塁打を放った

“マジシャン監督”として名を馳せた仰木彬氏の下で、藤井康雄氏は2001年にシーズン代打満塁本塁打3本の日本プロ野球記録を打ち立てた。当時39歳。「代打にシフトチェンジしてくれた、あれは、ある意味、仰木さんのおかげでもあるかなと思っています」と感謝しているが、実際のところ、指揮官との会話は少なかった。“ミスターブルーウェーブ”と呼ばれた主力打者なのに、初めて褒められたのが36歳のシーズンだったという。

 1998年、グリーンスタジアム神戸(ほっともっと神戸)のベンチ裏での出来事だ。「おお、ナイスバッティング」。仰木監督から掛けられたのはこのひと言。それこそよくありそうな言葉だが、藤井氏にとっては特別なシーンだった。「どの試合で、どの場面だったかは忘れましたけど、試合を決める一打を放って、そう言われました。なかなか褒める人じゃなかったし、そういうのが初めてだったんで印象に残っているんです。そこで初めて信頼されたような気持ちになりました」。

 仰木氏がオリックスの監督に就任した1994年、すでに藤井氏はバリバリのレギュラー選手だった。サヨナラヒットやサヨナラ本塁打も数多い。通算満塁本塁打14本は西武・中村、巨人・王に続く歴代3位。そんな実力者にもかかわらずだ。「思えば、それも仰木さんの僕への気遣いだったのかもしれません。ベテラン扱いというか、打っても何も言われませんでしたけど、ダメな部分も指摘されたことはなかった。やってしまったなってことにもそう。だから逆を言えば僕とは会話が少なかったんです」。

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