楽天観覧車から確認した守備の“伸び代” 吉田正尚、Rソックス140億円投資の舞台裏

レッドソックス・吉田正尚【写真:球団提供】
レッドソックス・吉田正尚【写真:球団提供】

Rソックスは楽天本拠地の観覧車から吉田の守備をチェック

 レッドソックスと5年契約を結んだ吉田正尚外野手の電撃移籍には何があったのか。交渉解禁初日、日本人野手最高額となる5年9000万ドル(約119億4900万円)の大型契約は多くの球界関係者を驚かせたが、レッドソックスにとっては長年の“恋人”だったようだ。米メディア「ジ・アスレチック」は徹底調査が大型契約につながったと見ている。

 記事によると、レッドソックスはオリックスの主軸だった吉田を4年近くに渡ってスカウティング。コロナ禍の影響で球団幹部は実際のプレーをほとんど見られなかったが、環太平洋コーディネーターのブレッド・ウォード氏、日本人スカウトのケント・マツモト氏が活躍したという。2人から大量に送られてくる報告をもとにポスティング後に向けて準備を進めていたという。

 マツモト氏からは一風変わった報告もあったという。楽天の本拠地では左翼後方にある観覧車から撮った映像が送られてきたという。プロスカウト部長のガス・クアトルバウム氏は、こう振り返っている。「マツモトは最高の角度から捉えるように常に趣向を凝らしていた。観覧車を使ったらと言ったら、それをやってきた。ヨシダが左翼線の難しい打球を追いかける映像を撮ってきた」。

 観覧車映像で分かったのは吉田の打球処理力だけではなかったようだ。守備の際のルーティン、瞬発力、打球への1歩目。記事では「レッドソックスのコーチングで今後どれだけ伸びる可能性があるかを測ることができた」という。貴重な資料となったようだ。

 そもそもレッドソックスが吉田に目をつけるきっかけを作ったのはオーストラリア在住のウォード氏だった。安定したバットコントロールに高い出塁率、空振りの少なさ……。同氏は「イチロー以来のピュアヒッターだ」と絶賛したという。パワーには確証が持てなかったが、今秋にクアトルバウム氏が来日。「予想外だった。打席でのアプローチはずっと気に入っていたが、あれだけパワーがあるとは思わなかった。驚くほどのパワーで打球を打ち上げていた。評価する側としての我々の計算式が変わった」。吉田のパワーに驚いたという。そして、記事は高額契約につながった理由をつづっている。

「パワーと打席での非常に辛抱強いアプローチは、レッドソックスに2021年終盤のカイル・シュワーバーを思わせた。メジャーではこの数年にわたって空振りが多い。ヨシダは打線そのものを変える打者だと見たのだ」。打撃力は、今季のナ・リーグ本塁打王に匹敵すると見ているようだ。オリックスへの譲渡金は1537万5000ドル(約20億4000万円)。約140億円の投資は一部メディアから「払いすぎ」とも指摘されるが、払う側はそれだけの価値を認めている。

(Full-Count編集部)

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