チームになじめず「気疲れしています」 指揮官から檄、球への対応…侍J宇田川の苦悩
ダルビッシュがブルペン入りした18日、宇田川はトレーニングルームにこもった
「正直、気疲れというか……」。野球日本代表「侍ジャパン」の宮崎キャンプは19日、第1クールを終えた。2日目の18日、パドレスのダルビッシュ有投手がブルペン入りした際は、若手の投手陣がズラリと一列並んで見学するなど、大注目を浴びていた。しかし、同時刻。その輪に入らず一人トレーニングルームにこもった男がいる。オリックス・宇田川優希投手は、もがき苦しみながらも、自らの使命を果たそうと、必死に腕を振っている。
日本シリーズでもポーカーフェースを崩さなかった右腕が、少し不安そうな表情を見せる。この日、侍キャンプで初めてブルペンに入ったが、納得いかず“おかわり”。2度目のブルペンでは、クイックで投げ込んだ。
昨年7月まで育成だった投手が8か月後の3月、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表として日の丸を背負う。まさに大出世だが、目まぐるしく変わる環境に大苦戦を強いられた。NPBから今回のWBCメンバーに選ばれた投手陣の中で、昨年11月の強化試合にも出場しなかったのは3人。その中で国際大会の経験がないのは宇田川だけだった。
急ピッチでの調整に焦り、WBC使用球に慣れようとすればするほど、うまくハマらない。「滑らないようにと考えすぎて、フォームが崩れて……」。2月1日に始まったオリックスの宮崎キャンプでは中嶋聡監督から調整不足を指摘された。さらに、体重が100キロを超えたため、減量を命じられた。
今回の侍キャンプでは、各所で“ダルビッシュ塾”が開講。巨人・大勢投手や阪神・湯浅京己投手らが、ダルビッシュから教わった変化球に手ごたえを感じていた。一方で、宇田川はまだチームメートにうまくなじめていない部分も。「みんな優しいんですけど……自分から行けるようなタイプではないので……」。どうしても遠慮して、周りに気を遣ってしまう。「気疲れっていうのは出てきている。チームにまだ慣れていない部分もあるので、慣れていけたらもっとパフォーマンスにも関係するのかな」と本音も打ち明ける。