力投の黒田を襲った悲劇… 広島-巨人戦で今季2度目の「完封目前の悪夢」

広島復帰後の初完封を目前で逃した黒田

 東京ドームのレフトスタンドに陣取ったカープファン。あとは信じて勝利を待つだけだった。試合は広島・黒田、巨人・高木勇人の投げ合いとなり、速いペースで進んだ。2時間を超えたところでもう終盤に入っていた。9回表を終えて、1-0でカープがリード。黒田の日本復帰初の完封勝利まであとアウト3つだった。

 6月30日は黒田にとって今シーズン初、8年ぶりの巨人戦だった。

 4番・阿部慎之助を「フロントドア」で見逃し三振に打ち取ったり、通算成績3割以上打たれている高橋由伸をフォークで空振り三振に仕留めるなど快投が続いていた。103球を投げ、8回裏が終わった際にはベンチで畝投手コーチと続投を確認。最終回のマウンドに立った。

 しかし、そこから長野久義、坂本勇人にヒットを許してピンチを招くと、阿部慎之助のタイムリーで同点。最後は亀井善行にサヨナラ犠牲フライを浴びて、サヨナラ負けを喫した。好投は報われなかった。ヤンキース時代も、援護がなく白星を逃すことが何度もあった。ファンにとってはショックが大きすぎた。

 振り返れば、4月のマツダスタジアムでの巨人戦でもそうだった。4月7日。先発・大瀬良大地が8回まで無失点ピッチング。完封目前だった。スコアは昨夜と同じ1-0。球数は135球。中継ぎ、抑えが不安定だったため、この球数でも続投したが、その好投は暗転した。先頭・亀井の左翼への飛球を、天谷が目測を誤り、落球。二塁打となると、井端にライト前タイムリー。同点に追いつかれた。延長戦の末、2-1で巨人に敗れた。

 今回の黒田はその球数や黒田を見れば、続投は仕方がないという見方だろう。しかし、敗戦の事実は変わらない。このような負け方はチームの勢い、士気に直結してくる。打線の改善、「勝利の方程式」の整備などをし、今後の悪夢は避けなくてはならない。悲願の優勝へ、広島は大きな宿題をもらった。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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