大谷翔平、侍を鼓舞する魂の雄叫び「ここからだ」　劇的サヨナラに感慨「人生でもない」

逆転サヨナラ打の悩める3冠王・村上にも思い「必ず打ってくれると思っていた」

　野球日本代表「侍ジャパン」の大谷翔平投手は20日（日本時間21日）、第5回ワールド・ベースボール・クラシック（WBC）の準決勝・メキシコ戦に「3番・指名打者」で先発出場。1点を追う9回に右中間二塁打を放ち、逆転サヨナラ勝ちを演出した。「本当に勝てて良かったなと。苦しいゲームでしたけど、諦めずにやって良かったなと思います」。チームは21日（同22日）に3大会ぶりの世界一をかけて米国代表と対戦する。

　諦める気持ちなど全くなかった。4-5で迎えた9回先頭。外角ボール球を右中間二塁打とした大谷は、二塁ベース上で雄叫び。自軍ベンチを鼓舞するように3度両手を上げた。

「本当に『ここからだぞ』という気持ちで塁にいたので。後ろにつなぎさえすれば、行ける安心感がある。とりあえずいい形でつなげて良かった」。同無死一、二塁から、悩める3冠王・村上が中越え2点二塁打。劇的な逆転サヨナラ勝ちだ。「なかなか結果が出ずに苦しかったと思いますけど、必ず打ってくれると思っていました」と賛辞の言葉を送った。

　ずっと求めていた試合だった。ここまでエンゼルスではポストシーズンと縁がないが、一発勝負の国際大会で野球人の本能に火がついた。

「負けたら終わり。相手の選手も素晴らしいプレーが多かったので、もどかしい展開でしたけど、こんなゲームをできるのは人生の中でもそんなあることではない。本当に楽しかったなと思います」。この日は派手なジェスチャーで再三チームを鼓舞。渇望していた戦いに全身全霊をかけている。

　戦いは続く。決勝戦では同僚のマイク・トラウトが率いる米国代表と激突する。「本当に素晴らしい相手。1番から9番までスター選手が揃っている。臆することなく、みんなメジャーリーガーだと受け身にならずに自分たちの野球ができれば、絶対に勝てると思ってやっていきたい」。栗山英樹監督は慎重な姿勢を崩さないが、大一番でのリリーフ登板についても「自分にできることは何でもしたい」と意欲的だ。

「テレビゲームをしているような楽しさではなくて。プレッシャーも込みで、人生の中でそうそう経験できる舞台ではない。こういうところでプレーできる感謝の気持ちも込みの楽しさなので。明日試合できるのも楽しみにしてますし、明日も緊張すると思いますけど、それも楽しいんじゃないかと思います」。これまでの野球人生で縁のなかった世界一。二刀流は全力で掴みとる覚悟だ。