大谷受けたPRP注射は効果あり? 無し? エ軍2投手が辿った異なる復帰への道

エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】
エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

リチャーズはPRP注射で復帰、ヒーニーは効果なくトミージョン手術

 エンゼルスの大谷翔平投手は「グレード2」の右肘内側側副靱帯損傷で故障者リスト(DL)入りし、戦線を離脱した。7日(日本時間8日)に多血小板血漿(PRP)注射と幹細胞注射を受け、今月下旬の再検査の結果を見て、その後の治療方針を決定する見込みとなっている。果たして、大谷の復帰はいつになるのか? 米メジャースポーツを長年取材している名物コラムニストは、2年前にエンゼルスで同様の負傷を負った2人の先発投手が同じ治療法を受けていた過去を基に、今後の展望を分析した。

 「オオタニの怪我を最初に聞いた時は心の底から落胆した。彼は今季メジャーで最高の物語だったのだからね」

 こう嘆いたは米スポーツ専門誌「スポルティング・ニュース」のジョセフ・ディポリート記者だ。エンゼルスを長年取材し、記者会見で大谷やマイク・ソーシア監督に激しい身振りとともに質問をぶつける同氏は、2年前にエンゼルスで大谷と同じ状況に立たされた先発ローテ投手2人について振り返った。

 「オオタニの右肘の靭帯の損傷はグレード2と診断されている。昨年末に診断されたグレード1というのは伸びているけれど、靭帯にダメージはない状態。グレード3になると靭帯が切れていて手術が必要となる。グレード2はその中間で、様々な状況が存在する。PRP注射と幹細胞注射で治療を進めているが、エンゼルスは2年前に2人の投手が同じ状況だった。ギャレット・リチャーズとアンドリュー・ヒーニーだ」

 ディポリート氏はこう語る。大谷とローテを守ったエース右腕リチャーズは2016年5月にDL入り。大谷と同じ右肘内側側副靭帯損傷だった。

 「リチャーズにはPRP注射による治療の効果が認められた。彼は5月にオオタニと同じ治療法を開始し、軽い投球が再開できたのは3ヶ月後の8月。実際の投球練習ができたのは、10月のアリゾナでの教育リーグだった」

 リチャーズは2016年と2017年は6試合ずつの先発に留まったが、今季はすでに14試合に先発。現在は左ハムストリングの張りで離脱しているものの、4勝4敗、防御率3.42と大黒柱として活躍している。

 一方、左腕のヒーニーは16年シーズンの初戦で左肘を故障。大谷とリチャーズと同じ肘の靭帯損傷が確認され、PRPと幹細胞注射の治療を受けたが、ヒーニーには効果は認められなかった。

 「ヒーニーはこの治療法を受けた後、ドクターが検査したが、効果が見られなかった。効果が出れば、9月にはマウンドに戻れると期待されていたのだが、結局は6月にトミー・ジョン手術を受けることが決まった。彼の復帰は2017年8月でした」

 ヒーニーは靭帯再建の手術を受けることとなり、復帰まで400日以上も費やした。ただ、2012年にドラフト1巡目全体9位でマーリンズに指名されたヒーニーは、今季11試合に先発し、3勝5敗ながらも防御率3.68と奮闘している。ヤンキースの田中将大投手も2014年7月に右肘靭帯損傷と診断された後、このPRP注射などによる保存療法を選択し、ここまで手術は行なっていない。

 「PRP治療法に関しては効き目に個人差もある。患部の状態もそれぞれ違う。リチャーズとヒーニーは同じ症状で復帰まで違う道を歩んだ。そして、リハビリを経て、今季はいいピッチングを見せてくれている。オオタニに関しては、ドクターが今月末に肘の状態をチェックする。保存療法が効果無しと見れば、手術を選択せざるを得ないだろう。そうすれば、来シーズン、彼のプレーを見ることはできない。これはメジャーリーグ全体にとって、これは大打撃なんだ。保存治療でもリチャーズの例をみれば、今季中の投手としてのプレーを見ることは難しいだろう」

 ディポリート氏はこう分析した。メジャーリーグ前半戦最大のニュースとして全米を席巻した大谷。保存療法を続けるのか、手術に踏み切らざるを得なくなるのか。名物コラムニストも二刀流の肘の状況を注視している。

(Full-Count編集部)

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