なめていたプロ野球「何なん、この人たち」 忘れられぬドラ1の“2階から降る超魔球”
浅井樹さんがプロ1年目を回顧…同期ドラ1・佐々岡の変化球に衝撃を受けた
1989年のドラフト会議で6位指名されて、富山商の浅井樹外野手(現カープ・ベースボールクリニックコーチ)は広島に入団した。その時のドラフト1位はNTT中国の佐々岡真司投手だ。高卒ルーキーと社会人出の即戦力ルーキー。球団からの期待度は最初から違う同期だったが、その1年目の開幕前にシート打撃で“対戦”したことがあった。あまりのボールに仰天した。「こういうのを投げないとドラ1にはなれないんだと思った」という。
「1年目のキャンプが終わって、広島に戻ってからのファームのシートバッティングに1軍の投手が何人か投げに来たんです。その時に佐々岡さんもいたんです」と浅井氏は懐かしそうに話した。忘れられない。打席に立って驚いたそうだ。「これがドラ1のカーブかって思ったのがすごく印象的でした。もう2階から降ってくるような感じだったですもんね。カーブが1回上にあがって、上で1回停滞して、ビュンと落ちてくる。18歳の僕の目にはそうしか見えませんでした」。
まだ1年目、キャンプからプロのレベルに圧倒されていた。「僕は(進路の)選択ミスをしたと思った。長内(孝)さん、西田(真二)さん、山崎(隆造)さん、小早川(毅彦)さん、長嶋(清幸)さん、原伸次さん。カープ左バッター全盛期じゃないですか。この人たちに勝たなければいけないのかと思ったら、これは無理だってね。だってゲージに3人入ったら、3人ともスタンドにコンコン入れる。今までそんなの見たことがなかったですからね」。
投手もしかりだ。「北別府(学)さんのブルペンを見たら、キャッチャーが構えたところから、1ミリも動かないところに投げるわけじゃないですか。佐々岡さんもそうでしたが、もう本当に何なん、この人たちって思うことばかりでしたよ」。プロをなめていたと痛感させられた。「入る前はプロでもできるだろって思ってましたからね。それが現実を知って……」。