“3代目ぽっちゃり”に漂い始めた本格覚醒の気配 監督絶賛の「いい仕事といい存在感」
西武・渡部健人が先制打、9連勝中だった阪神を撃破
■西武 4ー0 阪神(31日・ベルーナドーム)
西武にとって3代目となる“ぽっちゃり系”の主砲に、本格化の兆しが見えてきた。チームは5月31日、本拠地ベルーナドームで、9連勝中だった阪神を4-0で撃破。4試合連続で4番に座った渡部健人内野手が初回に中前適時打を放ち、チームに7試合ぶりの先制点をもたらして勢いに乗せた。
身長176センチ、体重115キロの巨漢が躍動した。初回2死三塁の先制機で打席に入ると、阪神先発の西勇輝投手に対し、カウント2-2から外角低めのチェンジアップに泳がされながらも必死にバットを伸ばした。執念で放った打球が中前に落ちる。「ランナーが三塁にいたので、どんな形であれヒットになれば点数が入る。『頼む!(当たってくれ)』と思いながらスイングしました」と口元を綻ばせた。
不動の4番と目されていた山川穂高内野手が、強制性交の疑いで書類送検され、さらに3・4月の月間MVPに輝くなど絶好調だった中村剛也内野手も外腹斜筋の軽度の損傷で出場選手登録抹消。チームの危機を受け、5月27日に今季初めて1軍に昇格した渡部は、同日のオリックス戦から「4番・一塁」で起用され続けている。
翌28日には同点適時打を放ち逆転勝利に貢献したが、30日のセ・パ交流戦の開幕戦では一転、4打数無安打2三振と沈黙していた。この日、会心の先制打で気を吐き、松井稼頭央監督は「昨日(30日)悔しい思いをしただけに、気持ちで打った一打ではないでしょうか」と目を細めた。
普段は同じ神奈川県出身のアーティスト桑田佳祐が歌う「炎の聖歌隊」を登場曲にしているが、この日から中村の登場曲であるHOME MADE 家族の「ムカイカゼ」を拝借。「試合前の練習後、同い年の(鈴木)将平(外野手)や若林(楽人外野手)から『中村さんの登場曲にすれば?』と言われて、中村さんにLINEでお願いして、『いいよ』と言っていただけました」と経緯を明かし、「力をもらえたと思います」とうなずいた。