守護神不在でも大健闘「わが軍は全員で戦う」 出色の防御率…原監督も高評価の救援陣

巨人・田中千晴【写真:矢口亨】
巨人・田中千晴【写真:矢口亨】

ドラ3新人・田中千晴を評価「修羅場でもしっかり投げ切れた」

 巨人の今季チーム防御率はリーグ5位の3.44だが、7月に限ると両リーグを通じてトップの1.94。特にリリーフ陣は0.91(9試合で29回2/3、自責3)と出色だ。しかも、守護神の大勢投手がコンディション不良で6月30日に出場選手登録を抹消された後の数字だから、なおさら奮闘ぶりがうかがえる。

 12日の広島戦(東京ドーム)も、巨人の戦い方に変わりはなかった。先発の左腕フォスター・グリフィン投手が6回2失点にまとめ、7回から2番手のタイラー・ビーディ投手にスイッチ。そのビーディが8回先頭の上本崇司内野手に死球を与えると、左打者が続くところで変則左腕の高梨雄平投手を投入した。さらに1死一、二塁となったところで、ドラフト3位ルーキーの右腕・田中千晴投手に代えた。

 田中千は相手の4番マット・デビッドソンに150キロ台前半のストレートで追い込み、フォークで空振り三振に仕留める。続く松山竜平内野手には四球を与え、2死満塁と追い込まれたが、途中出場の大盛穂外野手を151キロ速球で中飛に打ち取り、追加点を許さなかった。

 原辰徳監督は「(田中千が)修羅場でもしっかり投げ切れたことは大きいと思いますね」と目を細めた。田中千は今季リリーフだけで23試合に登板し2勝3敗、防御率4.43。当初は防御率6.97と打ち込まれ、5月6日に2軍落ちしたが、同24日に再昇格後、成長の跡を見せている。

復活の中川、オリから移籍の鈴木康、先発から転向のビーディも7月無失点

 9回は菊地大稀投手が3人で退けた、試合は、相手先発の森下暢仁投手に8安打完封され0-2で敗れたが、リリーフ陣にはこの日も乱れなし。育成出身で2年目の菊地は、5月27日の阪神戦から6月23日の広島戦まで11試合連続無失点の快投を披露。7月に入ってからは6試合で2失点しているが、接戦での起用が続いている。

 他のリリーフ陣も、多士済々かつ好調だ。腰痛で昨年1シーズンを棒に振った中川皓太投手も、今年5月に廣岡大志内野手とのトレードでオリックスから移籍してきた鈴木康平投手も、来日1年目にして今季開幕投手を務め、6月からリリーフに転向しているタイラー・ビーディ投手も、今月に入って失点していない。

 原監督は11日の同カードで、プロ初完投初完封の可能性のあった先発・山崎伊織投手を8回途中106球無失点で交代させ、試合後にこう語った。「わが軍は全員で野球をやってきて、ここにきているわけだから。スターティングメンバー9人で戦いが始まり、戦いが終わるというのは、やってきていないことだしね。全員で戦う意識を持つことは非常に重要なことだと思いますね」。投手陣においては、好調なリリーフ陣を最大限に活用し、継投で勝つスタイルが定着している。

 ここにファームで調整中の大勢が戻ってくれば、巨人のリリーフ陣はいよいよ盤石なものになるはず。オールスター明けの首位争い参入に向けて、頼もしいアドバンテージになりそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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