「こんな試合で怒ってるかな」―西武、11失点も森慎二コーチに捧げる勝利

森慎二元投手コーチに捧げるウィニングボールを手にする西武・辻監督【写真:荒川祐史】
森慎二元投手コーチに捧げるウィニングボールを手にする西武・辻監督【写真:荒川祐史】

昨年急逝した森コーチの命日「絶対に勝ちたかった」

 昨年急逝した森慎二投手コーチの命日となった28日、西武はオリックスに14-11で勝利。「絶対に勝ちたかった」と辻監督が語った試合は、前夜とは打って変わっての乱打戦となった。

「いいピッチングをして、森コーチへ勝利を届けたい」と前日に語っていた西武先発・多和田。その思いが気負いとなったのか、初回は1番・大城にデッドボールを与えると、連日一発を浴びている3番・ロメロに先制タイムリーを許してしまう。

 捕手の森が試合後に「本調子の時のストレートではなかったので、普段なら打ちとれているボールでもヒットにされたりしていた」と振り返ったように、多和田はこの日、6回117球を投げて6安打5失点と乱調。味方打線の大量援護で、5試合ぶりの8勝目こそ上げたもの「すべてが良くなかった。次は修正して投球したい」と、自身の投球内容を反省した。

 辻監督も「中9日あけているわけだからね。しっかり投げてもらわないと」と、少々おかんむり。そして、「まだ一生懸命投げているだけ。打者を見て臨機応変に」と投手としてのレベルアップを促していた。

 一方、今季最多となる18安打を放った打線に目を向けると、序盤、中盤、終盤と効果的に得点を挙げ、6月3日以来となる2桁14得点。勝利への執念が乗り移ったかのような打線の爆発で、終盤追いすがるオリックスを振り切った。

 森は「守備ではなかなかリズムを作れなかった」と話したものの、打つ方では4安打1本塁打3打点で勝利に貢献。「しっかり援護できたという点では良かった。今は調子がいいので、チャンスに回ってこいと思って打席に立っている。アウトのなり方もいいし、打球の質もいいので、好調を継続できれば」と、自身の打撃を振り返った。

 森慎二コーチが急逝してから1年。森は「1年ちょっとしか一緒にやっていませんが、すごく優しい方でした」と振り返り「ウイニングボールをご家族に渡すために、絶対に勝ちたいという気持ちだった」と明かした。さらに、辻監督も「(終盤に大量失点した)こんな試合で、怒ってるんじゃないかな」と思いを馳せながらも、必勝を期しての勝利に胸をなで下ろしていた。

(岩国誠 / Makoto Iwakuni)

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