入院中の主将に「良い報告を」　決戦直前の「大丈夫」に燃えた“代役”の意地

主将の小林隼翔が検査で入院中も、副主将の“代役”山田脩也がまとめたベンチ

　入院中の主将を気遣い、結果で示した。高校日本代表「侍ジャパン」は4日、台湾（台北）で行われている「第31回 WBSC U-18 ベースボールワールドカップ」でベネズエラに10-0で勝利し、7日から始まるスーパーラウンド進出を決めた。主将の小林隼翔内野手（広陵）が頭部の検査のため入院中。“代役”を務めた副主将の山田脩也内野手（仙台育英）が4打数2安打1打点の活躍で、勝利に導いた。

　一塁側ベンチには背番号1のユニホームが掲げられた。小林の姿はベンチになくとも“共闘”していた。代わって「2番・遊撃」でスタメン起用された山田は1点を先制した直後の4回2死三塁から、追加点となる適時打をレフトに放った。

　副主将は「小林が入院して、代わりに自分がキャプテンとしてチームを引っ張っていくと。いろんなプレッシャーがあったんですけど、チーム一体となって戦えたので、それが勝因につながったかなと思います」と、小林のユニホームに目線をやった。

　どうしても勝ちたい理由があった。試合前、入院中の小林から「頑張って勝ってくれ」というLINEが届いた。「大丈夫か？」と返信すると「大丈夫」と元気な返事があり、山田の心は少し晴れていた。「試合に勝って良い報告をできるように」。山田の適時打を含む4連打で4回に一挙5得点。侍U-18代表を波に乗せた。

　馬淵史郎監督は「とにかく（小林が）帰ってくるまで。小林を迎え入れるぞと。1つになれたのもよかった」と“代役”の山田がまとめたベンチの雰囲気をたたえた。4連勝でスーパーラウンド進出が決定。悲願の世界一へ、全身全霊で駆け抜ける。

（真柴健 / Ken Mashiba）