戦力外期間終了で始まる“本当の戦い” 144人が岐路…過酷な競争で見出す自身の価値

ソフトバンク・増田珠、巨人・太田龍、楽天・和田恋(左から)【写真:荒川祐史、竹村岳】
ソフトバンク・増田珠、巨人・太田龍、楽天・和田恋(左から)【写真:荒川祐史、竹村岳】

阪神ではかつてのレギュラー、高山俊と北條史也も戦力外に

 プロ野球の第2次戦力外通告期間が6日、最終日を迎えた。第1次通告期間を合わせると、総勢144人が現役生活の岐路に立つこととなった。球団別の内訳を見ると、最多は西武の21人、最少は日本ハムと広島の7選手。中には、ドラフト1位で入団したかつての“スター候補”や、ファンの大きな期待を背負って成長を続けてきた有望株も多く名を連ねた。

 ソフトバンクでは育成選手を含めた18人に戦力外を通告した。ブルペンを支えた森唯斗投手や嘉弥真新也投手の退団はファンを驚かせた。さらには増田珠内野手の名も。2017年のドラフト3位で入団した期待の若手は、6年目の今季は自己最多の35試合に出場。打率.182と結果は出なかったが、着実に1軍戦力の階段を上っていると思われた。小久保裕紀新監督も期待を寄せていた様子で、増田本人が報告に行った際には「『自分の頭の中にもあった選手だった』とお話いただいた」と明かした。

 巨人は41歳のベテラン中島宏之内野手ら、述べ15選手に通告した。その中には、2019年のドラフト2位で入団した太田龍投手も含まれていた。JR東日本から入団した身長190センチの右腕は、本格派として期待されていたが、1軍登板がないまま2022年のオフに育成契約を結んだ。支配下復帰を目指した今季も、目標達成とはならず無念の戦力外となった。

 38年ぶりの日本一に輝いた阪神は8選手に戦力外を通告。2015年のドラフト1位で入団して、新人王にも輝いた高山俊外野手、遊撃を中心に内野ならどこでも守るユーティリティ性でチームを支えた北條史也内野手の名があった。2016年はともにレギュラーとして、高山は打率.275、北條も規定未到達ながら同.273を記録した。しかし、その後は徐々に出場機会を減らし、ともに今季は1軍出場はなしに終わった。同僚たちの栄光の瞬間を見届け、チームを去ることになる。

 新天地を求めることになった選手の中には、実績が十分な選手も多い。広島・薮田和樹投手は2017年には15勝3敗、勝率.833で最高勝率のタイトルを獲得。巨人・鍵谷陽平投手はプロ11年で419登板を誇り、今季も13登板で防御率3.18を記録している。ウエスタン・リーグでセーブ王に輝いた阪神・小林慶祐投手や、イースタン・リーグ打点王の楽天・和田恋内野手も活躍の場が与えられれば大化けの可能性も。

 日本シリーズも終わり、本格的なストーブリーグが始まった。各球団の編成が本格化してくる中で、働き場所を見つける男たちの本当の闘いがこれから始まる。

(Full-Count編集部)

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