巨人ドラ1→戦力外招いた「ショボい成績」 引退チラつくも…人生懸けた“3度目”

入団会見を行ったソフトバンク・鍬原拓也【写真:藤浦一都】
入団会見を行ったソフトバンク・鍬原拓也【写真:藤浦一都】

鍬原拓也が入団会見…異色の経歴で「もうここから下に下がることはない」

 ソフトバンクは29日、今季限りで巨人を戦力外となった鍬原拓也投手の入団会見を行った。育成契約で、背番号は「174」。27歳右腕は「来年も野球ができる環境を作ってくださったホークスさんには感謝の気持ちでいっぱいです」と第一声を発した。2024年はプロ7年目にあたるが、育成契約は3度目という苦労人。ドラフト1位での入団から、異色の経歴の持ち主だ。

 1996年3月生まれで、チームでは周東佑京内野手らと同学年にあたる。2017年のドラフト会議で巨人に1位指名され、中央大からプロ入りした。2022年にはキャリアハイの49試合に登板し3勝2敗、13ホールドを記録。通算80試合に登板したが、今オフに戦力外通告を受けた。

 ソフトバンクは今季50人以上の育成選手を抱えた時期もあった。鍬原も巨人時代には2度、育成契約を結んだ経験がある。みたび育成でのオファーに対しては「巨人の編成の方から話があって、他の球団も含めて、ホークスが興味を持っていただいているという話はいただいていた」と言う。危機感とともに、ある程度の期待を抱きながら、正式なオファーを待った。

巨人から戦力外を受け不安の日々「話がなければ引退も視野に入れていた」

 15日に行われた12球団合同トライアウトには参加せず。戦力外通告を受けて、ホークス入りが決まるまでの心境を「毎日、まだできるとは常に思っていた。もし野球ができなくなったらどうしようという不安な日々ではありましたし、話がなければ引退も視野に入れていました」と明かす。無事に契約まで結び「率直に嬉しかったですし、見てくれている人は見てくれていると感じました」とはにかんだ。

 育成契約でサインをしたのも、このままでは終われないという思いだ。巨人時代を振り返り「1軍で投げられたのは去年くらい。また去年のようなパフォーマンスは出せると思っていますし、ドラフト1位で入れさせてもらって、こんなショボい成績じゃまだ終われない気持ち、反骨心はもちろんあります」と胸を張る。自分自身の力を発揮して、納得ができるまで、マウンドに立ち続けるつもりだ。

「僕もジャイアンツで2度、育成を経験して戦力外になった。一番下から這い上がるしかない。迷いはなかったです。もうここから下に下がることはない。上に上がっていくしかないと思うので、前を向いてやっていけたら」。来年3月には28歳を迎える。環境の変化をプラスにして、もう1度、晴れ舞台に立ってみせる。

(竹村岳 / Gaku Takemura)

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