昨季登板ゼロ…奥川に漂う復活の予感「年々大きくなっている」 専門家が見た“怪我の光明”

ヤクルト・奥川恭伸【写真:荒川祐史】
ヤクルト・奥川恭伸【写真:荒川祐史】

古巣ヤクルトを視察…五十嵐亮太氏を驚かせた奥川恭伸

 着実に調整を進める大器へ、温かい眼差しを送った。ヤクルトで守護神を務めメジャー3年間で83登板、ソフトバンクでセットアッパーとして活躍した野球評論家の五十嵐亮太氏が、沖縄・浦添市のヤクルト春季キャンプを視察した。日米で23年のプロ生活を経験した五十嵐氏は、再起を図る奥川恭伸投手のブルペン投球を見届けた。

 奥川は2019年ドラフト1位でヤクルトに入団し、2年目の2021年に9勝をマークした。右肘痛を経て、2022年3月29日の巨人戦(神宮)を最後に1軍マウンドから遠ざかる5年目右腕について「着実に良い状態に進んでいるのかなという印象ですね」と語った。

 熱気にあふれたブルペン投球を視察した五十嵐氏は「体の状態は良かったと思います。プランとして、まずはオープン戦に合わせる準備をしているように見えました。本人としては、理想通りには行っていないのかもしれませんけども(1軍復帰に向けて)比較的、順調に来ているという感じでしたね」と解説した。

「あくまで(最終)照準は開幕です。年間を通して戦うことを視野に入れて、自分のペースを崩さないで練習しているように見えました。毎年キャンプでピッチングをすると『飛ばし過ぎる』と。自然と体が動いて、その後に疲れが出てくるということもあって、今回は『スピードを制限』して投げていました」

 怪我で体が万全でない期間に、成長した部分も見えるという。「体は年々大きくなっている。加えて『体の動かし方』をよく知ることができたと思います。うまく機能してない部分を、どうすれば使えるのか理解できたのかなと」。自問自答を繰り返したピッチングは“数値”にも現れているという。

「再現性がすごく高い。徐々にスピードを上げていくピッチングでしたね。最初は130キロ後半で投げていて、次は140キロ、141キロ、142キロと球速を上げていたんです。決めたスピードでずっと投げ続けられる。多分、今でも150キロくらいのボールは投げられると思うんですよ。でも、あえてしない。力をコントロールできているんですよね。良い意味で力の抜き方を覚えたんだと思います」

 奥川が先発投手陣を支えれば、2年ぶりリーグ優勝も見えてくる。昨季ヤクルト投手陣の防御率は3.66で12球団ワースト。奥川の“復活”がV奪回の鍵を握ることになりそうだ。

(Full-Count編集部)

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