先発転向も戦力外…期待の元4.6億円右腕は「ローテ入る」 専門家が見込む2桁勝利

DeNA・森唯斗【写真:町田利衣】
DeNA・森唯斗【写真:町田利衣】

五十嵐亮太氏が期待する森唯斗「10勝近く挙げる可能性」

 昨年は74勝66敗3分けで3位だったDeNA。一昨年の2位に続いて2年連続Aクラス入りを果たしたが、今季は1998年を最後に遠ざかる優勝を手にできるだろうか。ポイントとなるのは、やはり投手陣だろう。エースの今永昇太がポスティングでカブスへ移籍。自由契約になったトレバー・バウアーは依然、去就が不透明だ。今永らの穴を埋めることはできるのだろうか。日米通算23年の現役生活を送り、906試合に登板した五十嵐亮太氏が今季のDeNAを占った。

 2023年シーズン、今永は148回、バウアーは130回2/3を投げた。バウアーが抜けた場合、278回2/3を補わなければならない。沖縄・宜野湾での春季キャンプを視察した五十嵐氏はカギを握る存在の1人に、今季加入した森唯斗を挙げる。「リラックスして練習に取り組む姿が印象的でした。状態は良さそうです。本人も先発でやる気持ちが強い。彼が何イニングを投げられるかがポイントなると思います」と語る。

 昨年まで在籍したソフトバンクでは救援が持ち場だった。470登板で127セーブ、105ホールドをマーク。2018年には最多セーブのタイトルを獲得した。昨年から先発に本格的に取り組み、6試合で2勝3敗、防御率4.60。2軍では12登板で5勝5敗、防御率1.54の成績を残した。4億6000万円(推定)の高年俸もネックとなり、オフに戦力外となりDeNAに加入したが、まだ32歳。老け込む年齢ではない。

 ソフトバンク在籍時に森唯らと強固なブルペンを形成した五十嵐氏は、先発としての新境地開拓に太鼓判を押す。「先発ローテの6人に入るのではないかと思います。いい感じでシーズンを滑り出せば、先発として10勝近く挙げる可能性もあるでしょう。いいスタートを切ってもらいたい」と背中を押す。

 昨年の先発陣は東克樹がチーム最多の172回1/3を投げ、16勝3敗、防御率1.98で最多勝と最高勝率のタイトルを獲得。今永、バウアー、FA残留した石田健大が118回、大貫晋一投手が76回1/3、浜口遥大投手が67回1/3と続いた。東の負担を減らす意味でも森唯の活躍がカギを握りそうだ。

質量ともに充実の救援陣…早めの継投も可能

 救援陣が充実していることも強みだ。例え先発投手が早い段階で捕まっても、早めの継投で相手打線を抑えることが可能だと分析する。首脳陣もそうした考えを持っているという。

 長くブルペンを支えてきたエドウィン・エスコバーは退団したが、昨年17セーブの森原康平、復権を期す山崎康晃、チーム最多61登板のJB・ウェンデルケン、伊勢大夢、入江大生、上茶谷大河、三嶋一輝、そして現役ドラフトで加入した佐々木千隼と多士済々だ。「中継ぎを早い段階でつぎ込んで勝ちパターンに持ちこむことが可能です。長い回を投げられる投手もいる。大きな強みになるのではないでしょうか」と占う。

 通算227セーブをマークしている山崎の抑え復帰についても「決して彼にこだわることはないと思います。抑えはリリーフの中でも頭一つ抜けた存在でなければなりません。ここも競争だと思います」。質量ともに充実している救援陣が、先発をカバーすることも可能。新たな勝ちパターン構築で、セ・リーグを抜け出す可能性も十分にありそうだ。

(Full-Count編集部)

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