山崎颯一郎&吉田輝星が明かす初恋 実家の近い“幼稚園の姫”…今だから話せる青春ドラマ

オリックス・山崎颯一郎(左)と吉田輝星【写真:北野正樹、真柴健】
オリックス・山崎颯一郎(左)と吉田輝星【写真:北野正樹、真柴健】

オリックス・山崎颯一郎と吉田輝星が「初恋」を語ります

 キャンプ地の宮崎・清武に集うファンが、選手にチョコを配るバレンタインデー当日……。両手いっぱいに差し入れの“プレゼント”をもらうオリックスの山崎颯一郎投手と吉田輝星投手に「初恋」を語ってもらった。午前中の練習が終わり、昼食会場に向かう山崎に「初恋」を尋ねてみると、にこやかな表情で足を止めた。「初恋……というよりか。いまだに忘れられない帰り道がありますねぇ……(照)」。満面の笑みで言葉を紡ぐ長身イケメンは、ドラマティックな思い出話を続ける。

「小学校1年生の時。入学式の翌日でしたね。同じ幼稚園から進学した『幼稚園の姫』がクラスにおったんすよ(笑)。たまたま、その子と僕の実家が近くて……。小学校に入学します。じゃあ、どうやって下校する? ってなった時でした」

 ニコニコ笑顔に浮かぶ、2つのえくぼがチャーミーに光る。「起立、礼が終わって帰る準備をしようとカバンに荷物を入れている時に『山崎くん、一緒に帰ろうよ!』と声を掛けてもらって……。僕の返事は(クールに)『おんっ』(笑)。BGMも必要になりますよね。あ~き(秋)の夜空にたそがれて~(照)」。微笑ましいストーリーに頷くと、続編も明かしてくれた。

「そのまま帰り道、一緒になりましたけど、あんまり喋ったことがなかったので、緊張しながら……。紐の長いペットボトルホルダーをコンコン蹴りながら歩いた……春の思い出(照)。それが僕の初春。青春(アオハル)です」

 きっかけは担任の先生の一言だった。「帰り道、1人は危険なので、誰かと帰ってくださいねって先生に言われていたんです。それで家が近かったからかな? 一緒に帰りました。見かけた近所の先輩が『おい、彼女か!?』『ヒュー(指笛)』みたいな感じで言ってきたので『違いますよ!?』と言いながら……。ペットボトルホルダーをコンコン蹴りながら帰った……春の時(照)」。金色に染めた髪をかき上げながら、無邪気に笑う。

「甘酸っぱい感じの思い出ですね。その後は何もなかったんです。それがまた良い。だからこそ覚えています。幼稚園の時から人気な子でした。その帰り道は普段は使わないルートなんですよね。いつもは右側を通るんですけど、そこから帰るとその子の家を通って、そこで別れて……という感じのエスコートです」

 お似合いのサングラスを外してキリッと表情を戻すと、ファンの待つ通路へ。「そーちゃーん!」の声と同時に、両手にはプレゼントがまた増える。微笑ましい光景を見ていると、直後にやってきたのが吉田だった。

仲間に“打ち明けられた”真実…「お前のこと好きだったの、知ってる?」

「僕の初恋……? 言っていいですか?」

 直前に盛り上がった山崎のエピソードを伝え聞くと、吉田のテンションも上がってきた。「小学校、中学校が一緒の子だったんですけど、1回も喋ったことがない子でした。僕は男子のワイワイしているグループにいて、決まった仲の良い女子としか話す機会がなかったんです。仲の良い女子の盛り上がっているグループの中に1人だけ、物静かな子がいたんです」。表情を少しだけ赤らめた。

「男女のグループでいつも一緒に遊んでいたんですけど、なぜか、その子とは話したことがなかったんです。すごくおとなしい子でした。めっちゃ人見知りな子で、僕は『可愛い……』と思っていたんですけど、そのまま中学も卒業してしまいました。(3年夏までの)野球部の間は部内の友達と遊ぶことが多いので、恋愛というところまで発展しなかったんです」

 中学野球を3年夏で1度“卒部”するも大忙し。「その期間も高校受験だとか野球の練習だとか遊べなかったり。だから、その子と話す機会もありませんでした」。存在を忘れかけた3年後、1通の連絡が届く。「あれから3年が経って、高校3年生の時に、久々にLINEが届いて……。『甲子園出場おめでとう』って。僕は『懐かしい……』と思って、学校から家に帰ってました」。仲間たちに確認した。

「中学校の頃、仲の良かった男友達に会った時に『○○から久々にLINEがきてさ、何やっているかわかる?』って聞いたんです。どこの高校に行っているかも知らなかったので。そしたら……」

 衝撃の答えが、ズキュンと胸に突き刺さった。「『お前のこと好きだったの、知ってる?』って言われて。ウソでしょ? マジ? あ~あ、すれ違っちゃいました。もったいない……という話です(笑)。同じクラスになったことがなかったけど、小学校1年生から中学3年生まで同じ学校に通っていたのに……。嬉しかったですけど、後悔しましたね、少し。あの時、話しかけていれば良かったですね」。切ない胸に春風がぴゅーっと吹いた。

「中学時代ってカッコつけるじゃないですか……。運動でもクラスでも、1番目立っていたと思うので。『俺からは行かないよ』って、カッコつけていました。中学生モードが発動して、3年後に後々聞くというね(笑)。その後は『ありがとう』って連絡を返しました。甲子園が終わったら、1回、会おうと思っていたんですけど……」

 じっと遠くを見つめた。「国体に出たり、プロか大学(進学)か進路の話し合いが始まったり。プロに行くからには『遊びに行くな』と親父に言われて、甲子園が終わってから本当に1日も遊びに行っていないです。だから……叶わぬ恋です」。そう言い切ると、そっと空を見上げた。

○真柴健(ましば・けん)1994年8月、大阪府生まれ。京都産業大学卒業後の2017年に日刊スポーツ新聞社へ入社。3年間の阪神担当を経て、2020年からオリックス担当。オリックス勝利の瞬間に「おりほーツイート」するのが、ちまたで話題に。担当3年間で最下位、リーグ優勝、悲願の日本一を見届け、新聞記者の卒業を決意。2023年2月からFull-Count編集部へ。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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