「もうちょっと対応してほしい」 逸材22歳が2安打も…岡田監督が“注文”をつけた理由

阪神・岡田彰布監督【写真:小池義弘】
阪神・岡田彰布監督【写真:小池義弘】

高卒5年目の井上が楽天戦に「8番・右翼」で出場し2安打1打点

 開幕1軍の生き残りをかけ、高卒5年目の逸材が猛アピールした。阪神の井上広大外野手が6日、甲子園で行われた楽天戦(甲子園)に「8番・右翼」でスタメン出場し、4打数2安打1打点。外野の両翼争いに名乗りを上げる若き大砲は「人より自分。しっかり準備してやっていきたい」と、結果に満足することはなかった。

 当落線上の男が意地の一打を放った。2回の第1打席では楽天・田中将の直球を捉え強烈な中前打を放つと、7回1死二塁で迎えた第3打席ではターリーのチェンジアップを強振。打球は左越えの適時二塁打となった。2月の実戦では無安打と結果を残せていなかったが、本拠地・甲子園での初試合で自慢の打撃を見せつけた。

 井上は2019年のドラフト2位で阪神に入団。パンチ力のある打撃で昨季は2軍でチームトップの11本塁打を記録。1軍でも13試合に出場し打率.229、7打点と飛躍の足がかかりを作った。今春のキャンプも1軍メンバーに抜擢され完走。オープン戦で待望の安打をマークし「本当にしっかり準備してゲームに入っていけたので。練習からゲームをイメージしてやっていたので。それが本当にいい結果になってくれた」と安堵の表情を見せた。

 昨秋から打撃フォームをノーステップに変更。試行錯誤しながら確実性を求めバットを振り続けた。この日の打席では第1打席は田中将の直球を捉え、第4打席も右飛に終わったが松田の145キロ直球を弾き返した。「真っすぐをしっかり仕留めるのが大事だと思う。そこを練習から意識してやっていけたら」。1軍に必要なポイントは理解している。

 ただ、若手の台頭を期待をする岡田彰布監督は、さらに高いレベルを求めている。試合後は「井上も、まぁチャンスはチャンスやけど、やっぱり真っすぐやけどなぁ。もうちょっと(速い)真っすぐに対応してほしい、いうのはあるけどな」と注文を付けた。

 チームは10日の巨人戦(甲子園)を最後にビジターでの試合が続く。指揮官は「この甲子園の間は置いとくよ。まぁそのへんはちょうど両方(ファームと)で行けるからな。今度のあと3試合やな。日曜日までやな、おーん。それである程度しぼって遠征行かんとなぁ」と、8日から10日の3試合を見てメンバーを絞っていく考えを明かした。

 井上にとっては“勝負の3連戦”が始まる。好不調の波をなくし、安定した打撃を見せることができれば開幕1軍はグッと近づいてくる。「それが今まで4年間あったので。それをなくした方がいい。去年の終わりぐらいからずっとそういう気持ちでやっています」。入団時から期待され続けた背番号「32」が、開花の時期を迎えようとしている。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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