妻と娘が「すき家に恋に落ちた」 助っ人が叶えた再来日…感謝する古巣からの招待

欧州代表のアレッサンドロ・マエストリコーチ【写真:小林靖】
欧州代表のアレッサンドロ・マエストリコーチ【写真:小林靖】

元オリックスのマエストリが語る日本への感謝

 京セラドームのベンチからゆっくりとグラウンドを見つめた。元オリックスのアレッサンドロ・マエストリ氏にとって、日本は“第2の故郷”のようなものだった。欧州代表のコーチとして来日。「やっぱりいいところだね」と懐かしそうに思いをはせた。

 3月9日、オリックス-巨人のオープン戦の始球式にマウンドに立った。T-岡田外野手が打席に立ち、捕手役は平野佳寿。審判役に安達了一内野手が務めた。始球式の前、「私を招待してくれたことに感謝しているし、元チームメートに会えるか気になる」と期待に満ち溢れた表情だった。

 マエストリ氏は2012年途中にNPBを目指して来日。四国アイランドリーグplusの香川オリーブガイナーズに所属すると、7月にオリックスと契約を結んだ。イタリア生まれ・イタリア育ちのNPB戦士は史上初めて。「キャリアで最高の瞬間の1つだったから、とても楽しかったよ」と感謝する。

 日本に来て一番驚いたことは治安の良さだった。「平和なことかな。娘と歩いていても、あまり心配することはない。娘が後ろをついて来ても大丈夫だろう。それは、本当にいいことだと思うよ」。家族ものびのびと生活ができたという。

妻と娘が大好きだった「すき家」…来日で計5回

 日本の生活にはすぐに適応した。「しゃぶしゃぶ、鉄板の寿司。焼肉も。なんでも好きだよ。うどんもカレーライスも好きだよ」。すらすらと日本食が出てくる。7歳の娘と妻は牛丼チェーンの「すき家」がお気に入りだという。

「彼女はすき家に恋に落ちたようだね」

 そう言って笑う。3月6日、7日に行われた「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ2024 日本vs欧州代表」では家族とともに来日。「来日した日に行ったんだけど、彼女と妻はそのあと4回も行ったんだ」。好きなメニューはレギュラーの牛丼でトッピングはなし。「牛肉と玉ねぎがいいんだ」と熱く語る。

 オリックス時代はチームメートとも友好な関係を築いていた。練習時間の長さには「クレイジーだよ」と笑ったが、「日本人のチームメートと友情を築けたこともよかったし、ファンもいつもリスペクトをもって私に接してくれた」と振り返る。中でも平野や岸田護現投手コーチが良くしてくれたという。「キシダもいつも面白かった」と目を細める。

 現在は母国イタリアで野球ショップを経営している。「野球を広めるために、ヨーロッパに投資してくればいいことだと思う。(ヨーロッパで野球が)発展すれば、将来的にここでプレーする選手が増えると思う」。いずれは日本とヨーロッパをつなぐ架け橋になりたいと、夢見ている。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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