大谷翔平の存在は「心強い」 経験者・井口氏が語る…チームに日本人選手がいるメリット
新天地を求めた4投手のうち3人が日本人選手と同チームへ入団
メジャーは今季、20、21日に韓国で開催されるドジャースvsパドレス2連戦で幕を開ける。日本球界からは今季、新たに4投手が海を渡った。ドジャース・山本由伸投手、パドレス・松井裕樹投手、カブス・今永昇太投手に加え、上沢直之投手がレイズとマイナー契約を結んだ。「投手ばかりで野手がいないのが寂しいけれど、楽しみなメンバーですね」と話すのが、ロッテ前監督で野球評論家の井口資仁氏だ。
新天地で挑戦する4投手のうち、上沢を除く3投手はチームに日本人選手の“先輩”がいる。自身も2005年にホワイトソックス入りした時には、前年から所属する高津臣吾投手(現ヤクルト監督)という先輩がいた。チーム内に日本人選手が1人ではないという環境は、自身の経験からも大きなプラスになると見ている。
「僕の1年目も高津さんがいてくれたことが、本当に大きかった。やはり練習がどんな流れで進むのかもわからないし、チームにどんなルールがあるのかもわからない。そこに頼れる存在がいるのは心強いですよ。通訳がいても、日本語で野球の話ができる人がいると気持ちの面で楽になる。山本由伸であれば、大谷(翔平)がどういう調整をするのかであったり、対戦する打者の特徴であったり、身近に聞ける相手がいることは、大きなアドバンテージになると思いますよ」
山本は、韓国での開幕シリーズ第2戦の先発に抜擢された。オープン戦2試合目、3試合目では失点が続き、防御率は8.38だった。それでも井口氏は「放っておいても活躍するでしょう」と笑いながら太鼓判を押す。
「心配することはないでしょう(笑)。カギは何日間隔のローテーションで回るのか。これは由伸に限らず、先発陣が直面する問題。日本よりも確実に休みは短くなるでしょうから。移動の大変さや気候の違いがある中で、どうやってコンディション管理をしていくのか。そこだけでしょう」
松井、今永のカギを握る「カウントの整え方」
メジャー流にいち早く馴染むのではないかと見ているのが、松井だという。この春は腰の張りで一時戦列を離れていたが、強気で攻める投球スタイルを高く評価する。
「球種は少ないけれど一つ一つの完成度が高い。ボールの違いやピッチクロックの影響がどう出るのか気になっていましたが、ほとんど影響はなさそうです。そもそも彼のストレートは独特で打ちづらい。球の出どころが見づらいし、球速以上に伸びてくるのでメジャーの打者も手こずると思います。スライダーでも空振りがとれ、ファウルを打たせることもできる。どちらも決め球になるので、1、2球でカウントを整えられる投球ができれば楽しみですね」
鈴木誠也外野手のいるカブスに加わった今永はオープン戦で好投を続け、開幕へ順調な仕上がりを見せている。井口氏はポイントとなるのが「カウントの整え方」だと見ている。
「今永は三振が取れる投手。日本でも奪三振王になっていますが、オープン戦でもその片鱗を見せています。メジャーで奪三振を重ねるには、そこまでのカウントをどう整えられるかがカギ。メジャーの打者は初球からフルスイングでホームランを狙ってくるので簡単にファーストストライクを取りにいけないし、リストを伸ばしてチェンジアップを打つのがうまい。コースを狙ってストライクを取りにいこうとするとボールになってしまうので、ファウルを打たせることも視野に入れた方が、投手有利のカウントを整えやすいと思いますね」
マイナー契約からメジャー昇格を目指す上沢は、オープン戦4度目の登板となった15日(日本時間16日)のオリオールズ戦で4回を1安打無失点と好投した。ロッテ監督時代に何度も対戦経験を持つ右腕について「制球力があるし、言いカーブも持っている」と評価する。
「いい投手ですから、頑張ってほしいですね。何より、あえてマイナー契約で挑戦しようという姿勢がすごい。お金ではなく、向こうでトライしたいという気持ちの強さがある。ジャイアンツとマイナー契約した筒香(嘉智)もそうですけど、そういう選手には頑張ってほしいと思いますね。上沢なら開幕メジャーを逃したとしても、どこかのタイミングでチャンスは回ってくると思います」
海の向こうで4投手が臨む新たな挑戦。日本から活躍を期待して、大きな声援を送りたい。
【井口資仁氏新刊発売情報】
井口氏が監督退任後、初めてとなる書籍「井口ビジョン」が3月21日に発売される。プロ野球では日本一、メジャーでは世界一を経験し、ロッテ監督としては2025年に常勝球団となるべくチーム再建を図った井口氏は、アマチュア期も含め、どのようなビジョンを持って歩んできたのか。そして、未来に向けて描くビジョンとは……。
■井口ビジョン / 井口資仁(KADOKAWA) 定価:1760円(税込)
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(佐藤直子 / Naoko Sato)