戦力外→育成打診も「やりません」 覚悟の独立L入り…プロ3年間は「正直にきつい」

火の国サラマンダーズ・中川拓真【写真:本人提供】
火の国サラマンダーズ・中川拓真【写真:本人提供】

昨オフ、オリックスを戦力外になった中川拓真「今後の自分の人生に向き合えた」

 3年間のプロ野球生活に“別れ”を告げ、新しい環境での勝負を選択した。昨オフにオリックスから戦力外通告を受けた中川拓真捕手は、今季から独立リーグ・九州アジアリーグに所属する「火の国サラマンダーズ」でプレーしている。

 新天地への移籍は、新しい挑戦への“決断”だった。「また少し違った『新しい環境』でやりたいと思ったんです。なんとなくですけど、戦力外に感づいていたというか……。(昨年6月に)左手の有鉤骨を骨折して、手術をする時にそんな(戦力外の)雰囲気を感じていたので」。構想外を通達された際、球団からは育成選手契約を打診されたという。

「本当は『育成で』と言われていたんですけど……。自分の中でやれることはしっかりやりきっていたので。手を抜くことだったり、悔いの残ることはないかなと思っていました。手術してからも、かなり前向きというか、真剣に野球と今後の自分の人生に向き合えた期間にできましたね」

 昨年10月30日、スーツ姿で球団からの呼び出しに応じ「来シーズンは育成で契約したい」と通達された。「僕は、それでしたら(来季は)やりませんと伝えました」。覚悟を決めた返事だった。「3桁の背番号になって同じところ(球団)で野球をやるよりも(移籍した方が)刺激がもらえるんじゃないかなと感じていたんです。新しい挑戦がしたい、と思っていましたし、環境を変えたかったんです」。

 中川拓は2020年ドラフト5位で指名され、豊橋中央高からオリックスに入団。在籍3年間で1軍出場機会はなかった。「全然2軍でも試合に出れていないので。心のどこかで諦めていたというか。正直に『きつい』というのはありました。だから、育成(契約)になって、そこからまた(支配下選手登録に)這い上がることは、ちょっとビジョンが見えなかったというか……。今年1年、本気で。また野球と向き合って。NPBに戻りたいです」。

 心の叫びを、熊本のグラウンドで表現してみせる。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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