評論家が疑問視した“阿部采配” 阪神と対照的…先手必勝の雨中で「勿体なかった」

巨人・阿部慎之助監督【写真:矢口亨】
巨人・阿部慎之助監督【写真:矢口亨】

阪神は佐藤輝が6回に値千金の3ラン…6連勝で単独首位

 昨季の日本一球団が、上昇モードに入ってきた。阪神は21日の中日戦に3-0(7回降雨コールド)で勝ち、1分けを挟んで6連勝。今季初の首位に立った。一方、同じ屋外球場で雨の影響を受けたライバルの巨人は敵地・広島戦に5回降雨コールド0-0で引き分け。野球評論家の新井宏昌氏は「阪神は積極的な攻め、巨人はやや消極的な戦い方と対照的だった」と分析した。

 降雨でグラウンドコンディションが悪く、試合はいつ終わってもおかしくない状況。待望の得点は佐藤輝の一振りで生まれた。両チーム無得点で迎えた6回2死一、二塁で、中日先発・松葉が投じた外角スライダーを強振すると、打球は右翼スタンドに飛び込む先制3ランとなった。

 3点リードの7回で降雨コールドとなり、チームは引き分けを挟み6連勝で首位に浮上。勢いの止まらない猛虎に新井氏も「1割台だったクリーンアップが、ようやく本来の打撃を取り戻しつつある。この1週間の状況が開幕からあれば、ぶっちぎりの首位だったと思います」と指摘。さらに主軸2人のアプローチにも注目した。

 大山は左足を上げていた打撃フォームを、19日の同戦からすり足気味に変更。今季初アーチを放ち復調のきっかけをつかんでいた。「すり足にしたことでタイミングを早く取ることができ、対応できるようになった。数字はこれから上がっていく」と新井氏。佐藤輝に関しても「いい意味でも、悪い意味でも彼のスイングは変わらない。自分のスイングを出し続けられることが強み。穴の多い打者だが、噛み合った時は試合を決める長打が生まれやすい」と評価した。

巨人は4回1死満塁で小林がセーフティスクイズを失敗し無得点

 状態の上がってきた中軸の活躍で試合をものにした阪神。一方で巨人は好機を作り6回に小林の犠飛でリードする展開も、雨に泣き引き分けに終わった。新井氏が注目したのは4回の攻撃。1死満塁から小林がセーフティスクイズを試みるも、打球は投手の前に転がり本塁フォースアウトで結果的に無得点に終わった。

「塁が埋まっている状況でタッチプレーはなく、三塁走者のスタートも遅れる。余程のバントを決めない限り得点の可能性は低い。まだ、スクイズなら理解できるが、少し勿体なかった。5回も無死一、二塁でオコエがバント失敗でチャンスを潰している。開幕直後はスモールベースボールで勝ってきたチームなだけに、修正は必要です」

 阪神は6連戦を5勝1分け、巨人は白星なく3分3敗と対照的な1週間を過ごした。「打撃陣の不調を投手力で耐えてきた阪神は上がり目もあり、5割を下回ることは考えづらい。巨人も苦しい6連戦だったが、阿部新監督の目指している戦い方は間違ってはいない。まだ団子状態が続いていく可能性はある」と新井氏は展望する。

 球団史上初の連覇を狙う阪神は一気に流れを掴めるか。2年連続Bクラスからの巻き返しを狙う巨人は、再び反攻に転じられるか。伝統球団の戦い方に注目が集まる。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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