ブーイングの中にも拍手…敵将が異例の“謝罪”も 大谷翔平が変えたトロントの空気

ブルージェイズ戦に出場したドジャース・大谷翔平【写真:Getty Images】
ブルージェイズ戦に出場したドジャース・大谷翔平【写真:Getty Images】

敵地で大ブーイングも…シュナイダー監督が笑顔で謝罪

■ブルージェイズ 3ー1 ドジャース(日本時間29日・トロント)

 7億ドル(約1108億円)契約の宿命とも言える大ブーイングが、3日間で徐々に変わってきたようにも見えた。ドジャース・大谷翔平投手は28日(日本時間29日)、敵地ブルージェイズ3連戦に出場。計14打数2安打に終わったが、初打席での本塁打と、菊池雄星投手から放った“自己最速打”は大きなインパクトを与えた。

 大谷翔平の人柄にブルージェイズナインも虜だった。26日(同27日)、カード初戦の第1打席。最初は皆一斉にブーイングを浴びせていた。その打席で右翼席へ本塁打。そこからブーイングも変化し、3連戦最終日でも、“洗礼”は浴びせられたが、拍手や口笛を吹くブルージェイズファンの姿もあった。

 12月にトロントへ向かったという誤報が流れて以降、初めて大谷がトロントへ向かった。前カードの敵地・ナショナルズ戦からトロントに関する質問が多数飛ぶなど、注目度は高かった。第1戦の前にはカナダ地元紙が「オオタニがジェイズを弄んだ」と挑発的な記事が紙面に載ることもあった。

 しかし、大谷はブーイングに対して「リスペクトに逆に感じるところかなと思います」とコメント。さらに、27日(同28日)の試合前にブルージェイズのジョン・シュナイダー監督に挨拶し、「今日は単打狙い」とジョークも交え談笑した。大谷の丁寧な対応にシュナイダー監督が「ブーイングしてごめんね」と異例の謝罪を行うこともあった。

 また、大谷と“同僚”になれなかったブルージェイズナインも大谷に対する敬意を示していた。ケビン・ガウスマン投手は「彼のことは本当に尊敬している。ブーイングが多かったからそれにも対処しないといけなかっただろうけど、楽しい冷やかしも受け入れていた」と慮り、ドールトン・バーショ外野手も「彼は感心させられる打者で、その選手を見れることはクールなことだ」と感慨深く話した。

 ブルージェイズのファンの中には大谷の本塁打を見ることができて喜んでいる人も。わずか2安打に終わったが、3日間でトロントの空気を変えたのは間違いない。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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