中日の改善されぬ得点力不足 プラス評価は細川のみ…屈指の救援陣にも懸念材料

中日・立浪和義監督【写真:荒川祐史】
中日・立浪和義監督【写真:荒川祐史】

中日の前半戦をデータで検証する

 リーグ屈指の充実した投手陣を擁しながら、慢性的な得点力不足に苛まれ2年連続で最下位に沈む中日。立浪和義監督3年目のシーズンを迎えるにあたり、打撃陣強化として、巨人から中田翔内野手、ソフトバンクから上林誠知外野手、米独立リーグからアレックス・ディカーソン外野手が加入。得点力増強に期待をかけた。そんな中日のペナントレース前半戦を検証する。(数字、成績は7月21日現在)

 開幕当初は12試合連続で2失点以下を記録するなど投手陣の活躍もあり、一時期は8年ぶりに単独首位も経験した。しかし、4月17日から3試合連続で先発投手が打ち込まれたあたりから徐々に歯車が狂い始め、最大で6あった貯金は月末で全て払い戻し状況となってしまった。

 その後は一進一退の攻防を繰り広げるものの、交流戦では5カードで負け越し、交流戦終了時点で借金は6にまで膨らんだ。期待の投手陣も月を追うごとに防御率が悪化し、打線をカバーしきれない状況に陥っている。

 投手陣はリーグでも有数の力を持つことは明らかであろう。特にライデル・マルティネス投手を擁する救援投手陣の実力は他に抜きん出る。7月11日のDeNA戦で逆転負けを喫するまでは、足掛け4年、8回リード時の試合で143連勝を記録していたほどの盤石ぶりである。ただ、救援投手の酷使度を示すRAPという指標で中日が最も数値が高いことは、後半戦に向けての懸念材料である。

 攻撃陣に関してはレフトの細川成也外野手のみがプラス評価で、慢性的な攻撃力不足の状況は未だ改善されず、である。後半戦は、実績のある岡林勇希外野手や阪神から移籍の板山祐太郎外野手を筆頭に、石川昴弥内野手、田中幹也内野手、福永祐基内野手といった若手の台頭に期待をかけることになるだろう。

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。

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