岩隈久志のノーノー投球を分析 日本人歴代達成者との比較で見えてくるもの

計91回の達成時の投球内容と比較

 シアトル・マリナーズの岩隈久志が、12日(日本時間13日)のボルチモア・オリオールズ戦でノーヒットノーランを達成した。日本人選手によるMLBでの達成は2001年4月の野茂英雄(当時ボストン・レッドソックス)、NPBでは昨年5月の岸孝之(西武)以来の出来事だ。

 岩隈の投球内容は、29人の打者に対し三振7、四球3、ゴロ11、内野フライ2(ライナー1)、外野フライ6(ライナー2)。この内容は、歴代の達成投手の投球内容と比較すると、どんな位置付けになるのだろうか。

 NPBでの完全試合とノーヒットノーラン達成計89回から、打席結果の詳しい記録が残っていない沢村栄治による初の達成(1936年)を除いた88回に、MLBでの日本人選手の達成3回を加えたのべ91回の投球内容を整理し、岩隈の位置を見た。

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ノーヒットノーラン達成のべ91投手の奪三振とゴロアウト

 達成時の奪三振は3~8個を中心に分布しており幅広い。岩隈の7奪三振は達成者の中でほぼ平均的な数字である。

 今年のNPBの1試合平均の奪三振も約7個。三振を次々と奪っていく投球でノーヒットノーランが達成されたケースは、そこまで多くない。1968年には外木場義郎(当時広島)が完全試合で成し遂げた2度目の達成時に16個の三振を奪っているが、これはかなり珍しい例だったのだろう。

 岩隈が打たせアウトになったゴロは11本。これも達成者の中ではほぼ平均だ。NPBのゴロアウトの1試合平均も9~10個でこれに近い。たくさんのゴロを打たせ、それがアウトにならなければノーヒットノーランが達成できないということでもなさそうだ。

 とはいえ1978年の今井雄太郎(当時阪急)による完全試合による達成では、18本ものゴロ(二5遊4投4三3一2)を打たせアウトにしており、そのようなケースもある。このときの奪三振はわずかに3つで、外木場とは対照的な達成だった。

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