心折れかけた13連敗…ハム新庄監督を奮い立たせた一言「とりあえずは恩返しできた」

日本ハム・新庄剛志監督【写真:小池義弘】
日本ハム・新庄剛志監督【写真:小池義弘】

「できる素質のある選手を獲ったことが一番のポイントなんです」

 日本ハムの新庄剛志監督は、26日にエスコンフィールドで行われた楽天戦に勝利し、就任3年目で初のAクラス入りを決めた。2018年以来、6年ぶりのクライマックスシリーズ(CS)進出。若手を成長させた手腕が評価されるが、指揮官が「僕はただその選手をつかっているだけ」と感謝した相手がいた。

“新庄イズム”は確実に浸透し、チームを変えた。奇抜なサインを出せば選手が応えられなかった2年前とは違う。今や生き生きとその野球を体現し、勢いだけではないチームとしての力がついた。自らを評価する声に、新庄監督は首を横に振った。

「もっともっと前をたどると、これをできる選手を球団のスカウトの方が見極めて、吉村さん(吉村浩チーム統括本部長)を筆頭に獲ってきてくれたことがもの凄くデカいんですよ。僕はただその選手を使っているだけで、できる素質のある選手を獲ったことが一番のポイントなんです。だから、スカウトの方とフロントには感謝しています」

 かつては大谷翔平投手(現ドジャース)を指名し、二刀流として世界に羽ばたかせた。“独自路線”とも言われるドラフト戦略で、多くの才能を発掘した。自分のしたい野球を成功させてくれる選手たち。彼らを“プロ野球選手”にしてくれた人たちの功績を称えたのだった。

 特に、自身を監督に導いてくれた吉村チーム統括本部長への感謝は尽きない。昨年7月に13連敗を喫した際には、前向きな新庄監督も心が折れかけた。そんなとき奮い立ったのは、就任1年目の春季キャンプ前に行ったスタッフミーティングでの吉村チーム統括本部長の一言があったからだ。

「『新庄監督の言うことは絶対です』からスタートしてもらったんです。その言葉が今でも、朝起きて球場に出るとき頭にポーンと浮かんで、さあやるぞと。そのためには僕が勉強をして、育てるために段取りを組んで。あの言葉がなかったら途中で折れていた。とりあえずはCSに行けたので、恩返しできたかなと僕なりに思っています」

 現場だけでない。北海道日本ハムファイターズが一丸となって、まずは第一目標をクリアした。

(町田利衣 / Rie Machida)

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