ド軍によぎる2年前の悪夢 露呈した不安…崖っぷちの指揮官に漏れた本音「理想的ではない」

パドレス戦の指揮を執ったドジャースのデーブ・ロバーツ監督【写真:荒川祐史】
パドレス戦の指揮を執ったドジャースのデーブ・ロバーツ監督【写真:荒川祐史】

パドレスに2連敗でかけられた王手「間違いなく理想的ではない」

【MLB】パドレス 6ー5 ドジャース(日本時間9日・サンディエゴ)

「Beat LA」の大合唱を跳ね返すことはできなかった。大谷翔平、山本由伸両投手の所属するドジャースは8日(日本時間9日)、敵地で行われたパドレスとの地区シリーズ第3戦に5-6で敗れた。5点ビハインドでテオスカー・ヘルナンデス外野手が満塁弾を放ち1点差に迫るも以降はわずか1安打。ついに王手をかけられた。

 反撃ムードも4回までだった。1-6の4回1死満塁でT・ヘルナンデスが中越えの満塁弾。1点差に迫った。しかし、そこから8回2死まで16人連続アウト。米データ会社「オプタ・スタッツ」によれば、プレーオフで満塁本塁打直後からの連続アウトの最長記録。フレディ・フリーマン内野手が8回2死で中前打を放ったが、出塁したのはその1回のみ。最後は元阪神スアレスに9回を締められると、球場には「Beat LA」の大コールが沸き起こった。

 ドジャースは2020年に世界一に輝いて以降、1度目もワールドシリーズに出場していない。よぎるのは球団記録の111勝を挙げナ・リーグ西地区を独走した2022年。地区シリーズでパドレスと対戦し、初戦勝利で飾るも以降3連敗で終戦した。敵地・サンディエゴで涙を飲んだ。

 悪夢は続き、昨年もダイヤモンドバックスに地区シリーズ3連敗であっさり敗退。今年も王手をかけられた状況に、指揮官には米メディアから「今年も敗退の目前の状況だけど」と厳しい質問が飛んだ。ロバーツ監督も腕を組み多くは語らず。「明日勝って、第5戦に向けた後始末をしないといけない。どういう展開になるかはわからない」と険しい表情だった。

 シーズン終盤の不安要素は最後まで消えなかった。1点リードの2回にはフリーマンの悪送球で無死一、三塁のピンチ。続くボガーツのゴロを遊撃のミゲル・ロハス内野手が二塁を踏んで一塁に送球し併殺を狙ったが、オールセーフになった。守乱で同点を許すと、その後タティスJr.に2ランを浴びるなど大量6失点。「いい守備をしないといけない」と指揮官は厳しい口調で語ったが、ロハス、フリーマンとも怪我を負っての強行出場。2人とも足を引きずり途中交代し、満足なプレーができないのは誰の目にも明らかだった。

 チームはこれで負けられない崖っぷち。それでも先発のウォーカー・ビューラー投手は3回以降無失点で5回まで投げ切った。「間違いなくこの状況は理想的ではない。しかし明日試合に勝つということにむけては、我々はいい状態にあると思う」。言い聞かせるように指揮官は前を向く。

 2年前と違うのは大谷がいることだ。第2戦は無安打、第3戦は1安打2三振に終わったが「彼は現在もいい状態にいると思う」と期待を寄せる。「明日、特別なことをやってくれるだろう」。チームはブルペンデーの予定。次に駒を進めるには、頼みの綱を信じるしかない。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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