戦力外、トレード…ルート違えど“一緒の道” 井口和朋、吉田輝星との再会で生まれたパワー

オリックス・井口和朋(左)と吉田輝星【写真:北野正樹】
オリックス・井口和朋(左)と吉田輝星【写真:北野正樹】

日本ハムから“一緒に”オリックスへ加入した井口和朋と吉田輝星の「縁」

 新たな環境がお互いを進化させている。昨オフに日本ハムから戦力外通告を受け、オリックスへ育成選手契約で入団し、支配下選手登録をつかんだ井口和朋投手が、同じく日本ハムから移籍してきた吉田輝星投手の躍進に刺激を受けている。

「僕から見ていても本当に頼もしいなと思います。僕の後ろを投げて、ピンチを抑えて帰ってきたりもしてくれていますから」。再び同僚になった7歳下の右腕を、誇らしげにみつめた。

 井口は武相高(神奈川)、東農大北海道オホーツクを経て2015年ドラフト3位で日本ハムに入団。救援で躍動し、2021年にはキャリアハイの43試合に登板。防御率1.86とブルペン陣を支えた。金足農業(秋田)から2018年ドラフト1位で入団した吉田とは、昨季までの5年間、日本ハムで過ごした。吉田も2022年に主に救援として51試合に登板し、2勝3敗5ホールド、防御率4.26の成績を残した。

 ただ、2023年は井口が1軍戦5試合、吉田も3試合の登板にとどまり、野球人生が“ストップ”してしまった。井口は昨年10月3日に戦力外通告を受けて日本ハムを退団。12月6日にオリックスから育成契約での入団が発表された。吉田も11月24日にトレードが発表され、オリックスに移籍したことで、再び2人が同じユニホームを着ることになった。

 井口は吉田に対する印象を「日本ハム時代から変わったというより、野球に対して変わったというところは、僕なりに感じています。元々、研究熱心でしたが、トレーニングにストイックに取り組む姿勢や野球への考え方とか、しっかりと自分でいろいろ考えていますね」と語る。

 新天地で、再び輝く。吉田は6月29日のロッテ戦(ZOZOマリン)で自身668日ぶりの白星を「1球勝利」で飾るなど“復活”。井口も、6月26日に腰痛で戦列を離れたものの、7月6日には戦列復帰。現在は2軍調整中だが、チームの勝利に貢献してきた。

「オリックスに来てからの方が(関係性は)濃いですね。2人とも新しい環境で関わりは増えました。ファイターズ(日本ハム)で一緒にやってきて、たまたま、違う経路でオリックスにきました。そういう意味で、縁のある、大事なチームメートです。一緒に頑張っていきたいですね」。新天地が2人の絆を深め、濃い日常を送っている。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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