宮城大弥の答えは“NO”「お願いしたのですが」 見せる執念…宮國凌空のリスペクト

オリックス・宮國凌空(左)と宮城大弥【写真:北野正樹】
オリックス・宮國凌空(左)と宮城大弥【写真:北野正樹】

オリックス・育成の宮國凌空、宮城大弥に「お願いしたのですが…」

 尊敬する先輩から、少しでも吸収したい。オリックスの育成ドラフト3位・宮國凌空投手が、郷里沖縄の先輩、宮城大弥投手との合同自主トレを熱望している。「宮城さんが誰とも自主トレを一緒にやっていないようなので、お願いしたのですが……」。シーズン終了を控えた球団施設の大阪・舞洲で、宮國が残念そうに口を開いた。

 宮國は沖縄県宜野湾市出身。1年目は入寮直後から新人ばかりで自主トレを行い、今オフは初めて1人での自主トレ期間を迎える。そんな不安な心を吹き飛ばしてくれそうな先輩が、宮城だった。

 宮城とは縁があった。同じ宜野湾市出身で、小中学校の校区は隣同士。さらに、中学時代にはともに宜野湾ポニーズに所属していた。4歳差で入れ替わりのため一緒にプレーはしていないが、先輩、後輩の絆は深い。プロ入り後は、調整で舞洲を訪れた宮城のキャッチボールの相手を宮國が務め、地元の話で盛り上がるという。

「僕らの時は、練習が午前中に終わると、近くにあるユニオンというスーパーでご飯を買ってきて、球場のベンチで食べた後はグラウンドでサッカーをして遊びました」という宮國に対し、宮城は「僕らは、ユニオンに行ってから、近くの広い公園でバスケットをやってたよ」。郷里の話が弾み、野球の話はあまりしないまま終わってしまうほどだという。

1度は断られたが…「『練習を手伝わせてください』とお願いしてみるつもりです」

 そんな仲のいい2人だが、合同自主トレを切り出した宮國に、宮城の答えは「NO」だった。宮國によれば「自分が動ける状態に持っていくための期間なので、自分がやりたいことだけをやって終わる自主トレだということでした」と残念そうな表情で明かした。

 宮城は「かわいい後輩ですよ」と言いながらも、宮國の自主トレ参加について「まだ、僕はそこまで教えるレベルではないので。みなさん、すごい自主トレをやっていらっしゃいますが、僕はそんなにやってませんし。まだ僕自身に不安がありますから、教えられる立場になれば一緒にやりたいと思います」と説明する。

 宮城には、一緒に体を動かし汗を流すことにもちろん異論はない。しかし、自信を持って効果のある自主トレの時間を後輩に与えてあげることができるのかを、真剣に考えての判断なのだ。宮國は「打たれてもカウントを悪くしても、いいテンポで自分の間合いで打者と勝負しているように見えます。逃げるのではなく、打者の実力と自分の球の勝負をしている。そんなところは真似をしてみたいと思っています」と宮城への憧れは尽きない。

「『僕、ついていきますから』と言っているんですが……。まだ時間はありますから、近くなったら『練習を手伝わせてください』とお願いしてみるつもりです」。後輩の“要望”は通じるのか。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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