“源田の牙城”崩す可能性は? 上位4選手の熾烈な外野争い…データで選ぶパGG賞
指標「UZR」などから選出…実際のGG賞は12日に発表
守備の名手に贈られる「第53回三井ゴールデン・グラブ賞」が12日に発表される。実際は記者投票によって選出されるが、データだけに基づいて決定してみると……。今季のパ・リーグを検証してみたい。
セイバーメトリクスの指標などを用いてプロ野球の分析を行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータを参照する。用いるのは、守備で平均的な選手と比べた時にどれだけ失点を増減させたかを示す「UZR」。対象とした選手は「三井ゴールデン・グラブ賞」有資格者の75人(投手29人、野手46人)とした。
一塁手は、今季移籍の山川穂高(ソフトバンク)が5.4でトップ。打撃では34本塁打、99打点で2冠を達成する一方、守備率.994の安定したディフェンスも光った。2位は-1.0のアリエル・マルティネス(日本ハム)、3位は-6.1のネフタリ・ソト(ロッテ)だった。
昨年は中村奨吾(ロッテ)が受賞した二塁手は、6.8で1位の小深田大翔(楽天)と、6.0で2位の外崎修汰(西武)の一騎打ちか。ともに5失策と完璧な守備力とは言えなかったが、シーズンを通して高いパフォーマンスを見せた。
遊撃手の筆頭候補は6年連続で受賞している源田壮亮(西武)。7.1で2位の友杉篤輝(ロッテ)を抑えて、8.1で堂々の1位。2.6で3位の水野達稀(日本ハム)は12失策(3位)、友杉もまた14失策(1位)を記録するなど、源田の7年連続受賞は固いだろうか。三塁手では栗原陵矢(ソフトバンク)が断トツのUZR18.2で、守備率、イニング数でも1位となっている。
外野手は近藤健介(ソフトバンク)が17.5で1位、万波中正(日本ハム)が13.8で2位、周東佑京(ソフトバンク)が12.8で3位、松本剛(日本ハム)が11.9で4位と、2球団の選手が上位を占めた。ワースト6失策の万波は、周東の「8」を抑えて11補殺(1位)を記録した。
守備率では岡大海(ロッテ)と西川愛也(西武)が1.000だが、守備のイニング数で劣る。楽天勢では辰己涼介が周東に続く守備率4位の.995だがUZR-8.2、小郷裕哉は守備率5位でUZR-4.6と、守備イニングでは球界トップ2だが、データではマイナスとなっている。印象度も含めて、実際の12日発表ではどの選手が選ばれるだろうか。
(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)
データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。