侍26歳左腕が覚醒したワケ データで迫る変化…“泣き所”を克服、5.01→1.00

侍ジャパン・早川隆久【写真:小林靖】
侍ジャパン・早川隆久【写真:小林靖】

早川隆久は4年目で初の開幕投手を務め、初の2桁となる11勝をマーク

 楽天の早川隆久投手は4年目の今季、初の開幕投手を務め、キャリア初の2桁となる11勝をマークした。則本昂大投手がクローザーに転向した穴を埋め、藤井聖投手とともに球団史上初めて左腕として2桁勝利を挙げた。左腕の進化にデータで迫る。

 早川は4月、月間防御率5.60と苦しみ、2軍再調整も経験した。しかし、5月に1軍復帰以降は安定した投球を続け、交流戦優勝にも貢献した。自身初の規定投球回に到達し、防御率も昨年の3.44から自己最高の2.54を記録した。成績で目を引くのが、与四球率だ。プロ4年間のうち与四球率1点台を3度記録。今季は自己ベストの1.85で、キャリア通算の与四球率も2.02となっている。加えて、2021年と今年の奪三振率が8.30を上回った。

 奪三振を与四球で割って求める指標「K/BB」はキャリア通算で3.92。一般的に優秀とされる3.50という基準を上回っている。昨年は2.89だったが、今季は4.57をマークした。

 一方で、キャリア平均の被打率は.253。2022年にはリーグ最多の19被本塁打を記録し、2023年は100投球回に満たない投手で、リーグワーストと2本差の13本塁打を浴びた。今季は.242。キャリアで最も優秀な数字となり、被本塁打も10本だった。

 早川が2023年に残した与四球率2.51、K/BB2.89はキャリアワーストだった。ところが、今季は奪三振率8.45、与四球率1.85、K/BB4.57と、いずれもキャリア最高の数値を記録した。また、昨年までは夏場以降に調子を崩していたが、今年8月の月間防御率は1.00。昨年までの3年間は5.02→14.40→5.01だった。月間防御率が4点以上だったのは5月と10月の2度で、1点台以下の月が4度もあった。

 キャリアを通じて示してきた指標面での優秀さを今季は勝ち星や防御率などに結び付けた。26歳という年齢を考えても伸びしろは十二分。侍ジャパンでも活躍し、23日には「ラグザス presents 第3回 WBSC プレミア12」スーパーラウンドのチャイニーズ・タイペイ戦に先発する。今後のさらなる飛躍が期待される。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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