転機は中学時代の“生ジャッジ” 195cm&105kg…台湾出身ドラ4、NPBから目指す世界一

新入団発表会に登場した西武・林冠臣【写真:宮脇広久】
新入団発表会に登場した西武・林冠臣【写真:宮脇広久】

西武ドラ4は台湾出身の日本経大・林冠臣…高校から日本へ“留学”

 スケールが違う。西武の「2004ドラフト新入団選手発表会」が1日に埼玉県所沢市内で行われたが、新人選手14人(支配下7人、育成7人)のうち、195センチ、105キロの巨漢でひときわ目立ったのが、ドラフト4位で台湾出身の林冠臣(リン・クァンチェン)外野手(日本経大)だった。

「自分の持ち味であるパワーを生かしていきたい。目標は開幕スタメンを勝ち取ること。将来はホームラン王を獲ることです」と林。目標とする選手として、ヤンキースの主砲アーロン・ジャッジ外野手の名前を挙げる。言うまでもなく今季、ドジャース・大谷翔平投手の54本塁打をも上回るメジャートップの58発を量産した長距離砲だ。

 林が“生”でジャッジの打棒を目撃したのは、中学時代、米シアトルで約1か月にわたる野球教室に参加した時だったという。練習休みの日、セーフコ・フィールド(現T-モバイル・パーク)でマリナーズ対ヤンキースを観戦。ジャッジのフリー打撃に衝撃を受けた。「全力で振っているわけではないのに、すごく飛ばしていた。自分もああいう選手になりたいと思っています」と今もジャッジの打棒は脳裏に焼き付いている。

「ニュースで日本の甲子園での高校野球を見て、ここで野球をやりたいと思って」と中学卒業後に来日。宮崎・日南学園高に入学した。同様に台湾から高校進学を期に来日し、後にドラフト指名されてNPB球団入りして活躍した例としては元阪神・林威助氏や元日本ハム、巨人で、今季はオイシックスでプレーした陽岱鋼外野手、西武で昨年まで8年間プレーした呉念庭内野手らがいる。

故郷の台湾がプレミア12優勝「自分も世界一になりたい」

 林は日本経大進学後、持ち前のパワーに加え、確実性も年々アップ。直近の福岡六大学野球秋季リーグでは、リーグ3位の打率.432をマークし、指名打者として2度目のベストナインにも選出された。

 故郷のチャイニーズ・タイペイ代表は11月の「ラグザス presents 第3回 WBSC プレミア12」優勝。年齢制限のない国際大会を制するのは初めてで、大いに盛り上がっている。林も「自分も1度でいいから台湾代表入りして、世界一になりたいです」と夢を描く。

 走っても50メートル6秒の快足で、小学生時代に走り幅跳びで5メートル20をマークするなど、秘めた身体能力は計り知れない。201センチ、128キロの“本物”と比べると、ひと回り小柄だが、“台湾製ジャッジ”が日本で威力を発揮する可能性は十分ありそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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