西武退団から1年…覚悟した野球人生終了 今季絶望の悲劇、横になれないリハビリ生活
台湾でプレーを続ける呉念庭、8月にアクシデントに見舞われた
2023年に西武を退団し、今年15年ぶりに母国台湾に戻った呉念庭(ウー・ネンティン)内野手は、アクシデントに見舞われていた。6月のドラフト1巡目で、台鋼ホークスに入団。しかし、新たなスタートを切った矢先の8月、守備の際に打球が顔に当たり、大怪我を負った。
台湾の社会人チームを経て、6月にドラフトで台鋼ホークスに指名された。入団後36試合に出場していたが、8月31日の楽天モンキーズ戦で、一塁の守備の際に打球が顔面を直撃。救急車で病院に運ばれ鼻骨と眼窩底の骨折と診断された。
二塁寄りの打球を半身の態勢で捕球しようとしたが、バウンドした強烈な打球に対応しきれなかった。「打球が当たった瞬間はめちゃめちゃ痛かったです」。顔を抑えて悶絶し、選手たちが急いでかけつけた。「その時は目に当たったなという感覚で、これでもう野球ができなくなると思いました。病院に行って、もう少し上に当たっていたら眼球だったと言われました。目ではなくで良かったです」。
打球が当たっていたのは左目の少し下だった。激痛や出血の影響で、術後は鼻で息をすることも難しかった。さらに、血液が逆流してしまう恐れがあるため横になることもできず、2週間は「座って寝るしかなかった」と振り返る。1週間ほどで腫れは引いたが、骨が癒合するまでは約1か月かかり、シーズン中の復帰は叶わなかった。
手術から2か月が経ち、傷跡も無くなった。「45度くらいの角度にして、寝ることはできました。日常生活は、あまり不自由はなかったですけど、激しい運動はやめたほうがいいと言われて、散歩などをしていました。キャッチボールやティーバッティングは1か月くらいでできるようになって、思ったより回復は早かったです」。
台湾復帰1年目の今年は、怪我の影響もあり不完全燃焼に終わった。「来年は春季キャンプからシーズン通して頑張りたい」。久しぶりに戻った台湾の環境にも慣れてきたという。来季は万全な状態で、母国での活躍を期待したい。
(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)