移籍即日“中心”に…九里亜蓮の主体性は「なかなかすごい」 投手コーチも驚愕の「勇気」
ブルペン入りしたオリックス・九里亜蓮【写真:北野正樹】オリックスに新加入した九里亜蓮の行動に厚澤コーチも“驚愕”
驚愕するとは、まさにこのことだろう。オリックス・厚澤和幸1軍投手コーチが、海外フリーエージェント(FA)権を行使して、広島からオリックスに移籍した九里亜蓮投手の取った行動に、驚きを隠せないでいる。
「他チームから来た選手が(チームの)輪の中心に立つのは、なかなかすごいことです。輪の中に入ることはできますが。(3度目のブルペンで)222球を投げ込んだこと以上に驚きました」。春季キャンプが行われている宮崎で、いつもは冷静に言葉を選ぶ厚澤コーチが数日前の出来事を興奮気味に振り返った。
春季キャンプが始まり、まだ1週間も経たないある朝。厚澤コーチに、練習前の九里が「こんなことを、選手に話してもいいですか」と伺いを立ててきたという。「野球人としての心構えでした。内容は明かせませんが、練習する態度や姿勢、心構えのような話ですね。いい話だと思って、僕は『(移籍)1日目であろうが、1年目であろうが、10年目でも関係ない。野球人として、みんなに話してあげて下さい』と、話をしてもらいました」。
「みんなの前で話すことで、自分自身にプレッシャーをかけているのだと思います」
厚澤コーチの目は、他の選手にも注がれる。「彼(九里)は投手陣の先陣に立とうと行動してくれたのですが、オリックスの投手たちがその姿を受け入れてくれたということが、非常にうれしかったですね。亜蓮がいてくれることで、投手陣がまとまったのは事実です」。
広島在籍時の2021年に最多勝に輝いた九里は「まだまだ、野球が下手くそだと思っています。もっとレベルアップしたいという思いで毎日を過ごしています」と控えめで、40歳の平野佳寿投手にフォークを、23歳の宮城にはキャッチボールの心構え、22歳の山下舜平大投手にカーブの握りを聞くなど、謙虚な姿勢を貫いている。
「多分、他の選手に聞きにいきながら(そこで)コミュニケーションを取っているようにも見えます」と厚澤コーチは目を細め「みんなの前で話すことで、自分自身にプレッシャーをかけているのだと思います」と覚悟も感じ取る。先発として「200イニング登板」を掲げる九里の存在は、シーズン前からオリックス投手陣に好影響を与えている。
(北野正樹 / Masaki Kitano)