大谷翔平グッズに「多くの偽装品」 米競売会社トップが警鐘、球界に蔓延る“闇”
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高まる大谷グッズの需要…50-50記念球を売った「Goldin」CEOが明かす問題
ドジャース・大谷翔平投手が昨年9月に達成した前人未到の「50本塁打&50盗塁(50-50)」の記念球は、競売にかけられ全米のみならず日本や台湾を巻き込んだ争奪戦となった。最終的に台湾の投資会社「UCキャピタル」が439万2000ドル(約6億5800万円)で落札。破格の値段で取引が進む中、記念球を販売した「Goldin」のケン・ゴールディンCEOはサイングッズには偽物が多く流通していると警鐘を鳴らす。
ゴールディン氏はかつて、MLBなどの代理人として活躍した経歴を持つ。フィリーズなどで活躍したジェイソン・ワース氏や、複数のマイナーリーガーを顧客に抱えていたという。代理人業でスポーツに携わる中、スポーツ記念グッズの業界にビジネスチャンスを見出した。「(公的な)認証が大きな課題でした」と当時の環境を明かす。
当時はサイングッズを買っても信頼できる証明書がなかった。2012年の創設以降、業績を大きく伸ばした要因は信頼性。「Goldinで買えば、本物の商品が受け取れます。記念品、サイン、試合で使われた物など購入したすべての物に対して認証レターも一緒に届きます」。これは「Goldin」が最初に行ったことだという。
「Goldin」やMLB公式のオークションサイトでは正規の証明書付きのサイングッズを購入できる。一方で、他のサイトにも多くのサイン入りグッズが出品されている。ゴールディン氏は「(市場には)信じられないくらい多くの偽装品が出回っています」と、リスクを指摘した。
「(市場に出回っている証明書なしの)サイングッズのうち1個が本物だとすれば、50個は偽物です」と同氏は話す。とあるオークションサイトで「Ohtani autograph」と検索すると、出品数は3600品以上。ゴールディン社長の話では、最低でも3500品もの偽物が出回っていることになる。
「(認証されていることは)最も重要なことだと思っています。そして、購入者が信頼してくれることは何よりも大事なことだと思っています」と、強調する。大谷は二刀流復帰が見込まれる今季、グッズの需要も高まる。希少性の高さだけでなく“信頼”が金額を生むことを、同氏は理解している。
(増井貴志/Takashi Masui)
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