防御率0点台…逸材の覚醒を呼んだ“運命の1球” 絶体絶命でも「ボークになってもいいや」

オリックス・古田島成龍【写真:小林靖】
オリックス・古田島成龍【写真:小林靖】

オリックス・古田島成龍…2年目は「求められていることも間違いなく上がっている」

 成功を収めても、進化を追い求める。オリックス・古田島成龍投手は新人年の昨季に救援として50試合に登板。2勝1敗24ホールド、防御率0.79の好成績を残していた。宮崎春季キャンプでのブルペン投球では球数を投げ、大粒の汗を流していた。先発に挑戦していたが、チーム事情から救援に“再転向”となり「求められていることも間違いなく上がっていると思う。プレッシャーは感じますけど、そこは自分次第。良いマインドでできたらなと思っています」と拳を強く握る。

 振り返れば、躍動した1年だった。開幕1軍スタートを切ると、昨年4月6日ロッテ戦(ZOZOマリン)でプロ初登板。その後も好投を続け、6月27日ソフトバンク戦でプロ初失点を喫するまで、22試合連続無失点を記録した。

「もう、開き直ってましたね。マウンドで良い開き直り方ができていました。まずはブルペンで頭を整理して……。勝負に行けば、怖いもの知らずになっていました。もちろん、1度は考えた上で、です。最後の方は『怖さを知らない方がいいんじゃないかな?』という精神でした。気持ちで負けちゃいけないと思っていたので……。いつも強気に。正直、小細工はしていませんでしたね」

 忘れられない1球がある。昨年4月20日のソフトバンク戦。古田島は同点の延長11回にマウンドへ上がった。3四球を与えるなど2死満塁のピンチを迎え、打席には牧原大。カウント3-2となり、ボールを投じれば押し出し四球で敗戦となる“絶体絶命”の場面で、パッとひらめいた。

マウンドで磨いた“強靭”なメンタル「良い球を投げても打たれる時は打たれます」

「あのシーンは……。1回、プレートを外して考えました。そこで『足を上げよう』と思ったんです。僕、それまではクイック(投法)で投げていたんですよ。ただ、カウントが3-2になって『もうどうにでもなれ』と思ったんです。後悔のないように、思い切り左足を上げて投げたんです。『ボークになってもいいや』くらいの気持ちでしたね」

 6球目の直球で二飛に打ち取ると、渾身のガッツポーズを繰り出して絶叫した。「あれは……本当に奇跡です。縮こまりながらですけど、全力で投げられましたね」。極度の緊張感を乗り越えて強くなったメンタルが、今も生きる。

「良い球を投げても打たれる時は打たれます。他力本願ではないんですけど、自分ではコントロールできない部分もある。最終的には『アウトになればいいや』と思っています。アウトの方法はたくさんあるので。そういう考えの時はやっぱり(調子が)よかったですね」

 プロ2年目への“挑戦”に突き進む。「まだまだ全然です。やらないといけないことだらけなので。まずは、どこから手をつけて行こうかなと考えている段階です。投げていくうちに課題が見つかっていくと思っています」。溢れる気迫――。痺れる場面での絶叫こそ、似合う。

【実際の動画】絶体絶命のピンチ…オリ古田島が鷹・牧原を打ち取った“運命の1球”

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