大谷翔平も“大台”に…最強ドジャースに忍び寄る陰 専門家指摘する“穴”

ドジャース・大谷翔平【写真:Getty Images】
ドジャース・大谷翔平【写真:Getty Images】

1998年~2000年ヤンキース3連覇が最後で高い難易度

 大谷翔平、山本由伸投手を擁して昨季、ワールドシリーズを制したドジャースは18日、東京ドームで行われたカブスとの今季開幕戦を4-1の白星で飾った。MLB最高峰の舞台で連覇は今のところ、1998年から2000年まで3連覇したヤンキースが最後で、21世紀に入ってからは皆無。現役時代にNPB通算2038安打を放ち、引退後は名コーチとして鳴らし、さらにMLBにも造詣が深い野球評論家・新井宏昌氏が可能性を探る。

 開幕戦に「1番・指名打者」で出場した大谷は、5打数2安打と活躍。投げては山本が5回を3安打1失点に抑え、新守護神タナー・スコット投手は9回を3者凡退で締めて移籍後初セーブを挙げた。新井氏は「今季のドジャースは投手力がかなりアップしていると思います。特にブルペン陣は、昨季(エバン・)フィリップス(投手)の不調で固定できなかったクローザーに、スコットの加入などでメドが立ち、全体も強化されました」と分析する。

 スコットは昨季、シーズン中にマーリンズからパドレスに移籍し、2球団で計72試合を投げて9勝6敗22セーブ、防御率1.75の好成績を挙げている。今季からドジャースに加わり、新天地で開幕戦登板を飾った。昨季レンジャーズで61試合33セーブ、防御率1.17の右腕カービー・イエーツ投手もブルペンに加わった。昨季中継ぎで50試合、防御率1.93のブレイク・トライネン投手も、今季開幕戦の8回を無安打2奪三振1死球無失点に抑え、健在ぶりをアピール。あとはフィリップスが復活すれば、鬼に金棒だ。

 先発投手陣も、開幕戦で白星を挙げた山本に昨季の7勝を上回る成績が期待できる上、佐々木朗希投手、サイ・ヤング賞2回の実績を誇るブレイク・スネル投手も新戦力として加わった。シーズン中には大谷の2年ぶりの投手復帰も見込まれている。

フリーマンが左肋骨違和感で急きょ開幕戦欠場し、ベッツは体調不良で帰国

 課題のあった投手陣も強化され、ワールドシリーズ連覇へ向けて万全の態勢を整えつつあるように見えるドジャース。新井氏は「あえて不安材料を挙げるなら、主砲のフレディ・フリーマン(35歳)、スター選手のムーキー・ベッツ(32歳)、長距離砲のマックス・マンシー(34歳)、ユーティリティプレーヤーとして重宝されているクリス・テイラー(34歳)、エンリケ・ヘルナンデス(33歳)あたりが高齢化してきていることでしょうか」と指摘する。

 実際、フリーマンは左肋骨の違和感を訴え、開幕戦を急きょ欠場。ベッツに至っては、体調不良で東京ドームでの開幕シリーズ2試合を欠場することが決まり、ナインより一足先に帰国した。2人ともシーズンを通しての活躍に、早くも暗雲が垂れ込めた格好である。

 一方、脂が乗り切る年代を迎えた大谷は昨季、ベッツの後ろの「2番」を務めることもあったが、やはり「1番」が適任のようだ。ただ、新井氏は「投手としてホームゲームに先発する場合、打順が1番だと、初回の投球を終えた直後、インターバルを置かずに第1打席に立たなければならない。それがベストかどうか、検討の余地はあると思います」と提起する。

 いずれにせよ今季のドジャースが、30球団あるMLBで極めて難易度の高い“ワールドシリーズ連覇”へ向けて、かつてないほどの可能性を持っていることは間違いなさそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY